2009 Fiscal Year Annual Research Report
マイナークロップの技術需要と官民連携の研究開発制度に関する経済学アプローチ
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21780202
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
齋藤 陽子 Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine, 畜産学部, 助教 (30520796)
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Keywords | 研究開発投資 / Priority-Setting / 需要主導型 |
Research Abstract |
平成21年度は,研究機関への聞き取り調査および文献サーベイを実施した. (1)研究機関への聞き取り調査 農林登録をはじめとする知的財産の利活用に関する現状について,研究機関を対象に聞き取り調査を実施した.品種登録は,平成21年度より従来の農林登録が廃止きれ,民間機関からも申請・登録が可能な農林認定にかわった.ただし同時に,品種の実用性・有用性が従来よりも厳しく精査されることとなり,育種関係者の戸惑いとなっている. (2)知的所有権と研究開発制度に関する文献サーベイ 生物遺伝資源をめぐる知的所有権(伝統的知識の利用含む)制度については,生物多様性条約,世界貿易機関(WTO)のTRIPS協定,そして国連食料農業機関(FAO)など,様々な国際機関が関与している.近年では,遺伝資源を人類共通の資産とする考えから,原産国の主権を積極的に認め,利益配分に配慮しながらこれら知識の有効利用を促進する方向へと変化している. こうした制度に関する変遷をまとめるとともに,経済学における研究成果についても,既存研究の整理をおこなった.知的所有権の強化は,必ずしも生産性向上にはつながらない,とする研究成果もあり,今後の研究開発における政策決定に重要な視点を与えるものである. 国内の研究者を取り巻く環境の変化は,国際的な知的所有権の動向とも無縁ではなく,2年目以降の実証研究において,事例研究を蓄積し,研究開発政策の意思決定に資するものとしたい.
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