2011 Fiscal Year Annual Research Report
マイナークロップの技術需要と官民連携の研究開発制度に関する経済学アプローチ
Project/Area Number |
21780202
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
齋藤 陽子 九州大学, 農学研究院, 学術研究員 (30520796)
|
Keywords | 超強力小麦 / 地域特産農産物 / 準公共財 |
Research Abstract |
本研究は、国や都道府県の研究機関では研究開発の対象となり難い地域特性の強い農作物、いわゆる孤児作物と呼ばれるものについて、消費者または生産者においてどのような技術需要があるのか明らかにし、その研究開発を促進する方策を明らかにすることであった。 既存研究の整理を進めた昨年度に引き続き、今年度は、小麦を対象に新規導入品種の消費者需要を分析した。これまでの普及品種である日本麺用品種に対し、パンや中華めん用の超強力小麦は、近年育種が開始された新規用途の品種で、拡大を続ける国内需要に対し、育種機関の対応がこれまで十分になされていなかった分野である。これらパン用小麦は、北海道のなかでも道東での作付けに適しているとされ、現地での品質如何で今後の普及状況や実需者の受け入れ意向が左右されるが、本研究の結果、消費者、とりわけ地産地消を心掛ける消費者においては、農産物の品質以上に、新品種のもつ農業生産や農地保全といった準公共財的側面に対する貢献を重視していることが明らかとなった。これはすなわち、地域特性の強い農産物ま、該当地域の消費者にとって、農業生産や農村経済に貢献するといった意味をもって消費される可能性が高いことを示すとともに、それら農産物の生産に好意的であることが伺われる。今後は、こうした農産物を地域で育種、生産、普及し、加工、外食へと一連のフードチェーンの中で活用することで、農業振興と農村経済発展に寄与することが期待される。
|