2009 Fiscal Year Annual Research Report
韓国における1社1村運動が地域づくりに果たす役割に関する実証研究
Project/Area Number |
21780207
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
品川 優 Saga University, 経済学部, 准教授 (10363417)
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Keywords | 韓国農村 / 1社1村運動 / 地づくり / 条件不利地域 / 農村振興 / 農村サラン運動 / 農協中央会 |
Research Abstract |
本年度は,交付申請書に記した本研究で明らかにする4点のうち,以下の2点について調査・分析をおこなった。1つは,1社1村運動をコーディネートしている「社団法人農村サラン本国民運動本部」において,ヒアリング調査をおこなった。1社1村運動の取り組み背景には,韓国の高度成長以降先鋭化した都市と農村の所得格差問題があり,高度成長の恩恵を最も享受した企業が,1社1村運動を通じて農村の格差問題の社会的解決の一助を果たす,ひとつの所得再分配的役割として取り組まれていることが明らかとなった。このように企業が直接農村部と結びついて格差問題に取り組む手法は,政府による法人税の徴収とそれを原資に公共事業を通じて国土の均衡発展と所得格差問題を解消してきた日本とは異なる。しかし,そうであるが故に,韓国の経済状況や企業の経営事情に大きく左石されるという不安定化の要因も内包している。事実,ピーク時の2007年には1万4,500件(累積)の1社1村運動が取り組まれていたが,リーマンショック以降2009年には7,500件に半減している。 もう1つは,これら1社1村運動が各地域(道)ごとにどの程度取り組まれているのかといった地域ごとのデータ把握である。現在データの整理中であり,次年度への宿題である。全国での1社1村運動のデータ把握はなされているが,地域ごとの詳細な把握・分析はほとんど皆無であり,これらの作によって1社1村運動の韓国全土での広がり具合や活動状況などを明らかにすることができるものと思われる。
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