2009 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル下における離島農業・農村存立の論理と政策-南西諸島を対象として-
Project/Area Number |
21780208
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
坂井 教郎 Kagoshima University, 農学部, 准教授 (80454958)
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Keywords | 島嶼農業 / 離島農業 / 品目別経営安定対策 / さとうきび / 生産性 |
Research Abstract |
本年度に実施した研究は,(1)南西諸島の島の分類と位置づけ,(2)さとうきび新政策の影響についてである。 (1) 島の分類と位置づけ 南西諸島の36の島を,労働生産性と土地生産性を指標に分類を行った結果,大きく6つの群に分類できた。第1群は,労働生産性,土地生産性ともに低い島(13島)あり,これらの島は農業がほとんど行われていない島やさとうきびが小規模に生産されている島である。第2群は,労働生産性は低いが,土地生産性が高い島であり,一般に農業生産が低調である。数が少なく(3島),特殊な位置づけとなる。第3群は,労働生産性が中程度,土地生産性は低い島(9島),第4群は,労働生産性は中程度,土地生産性は高い島(5島)である。3群,4群の島はいずれもさとうきびを中心としているが,園芸の振興の度合いが両群を分けている。第5群は大規模さとうきび経営を中心とする土地生産性は低いが,労働生産性が高い島(2島),第6群は畜産や花卉栽培が盛んであることにより,労働生産性,土地生産性ともに高い島である(4島)。 (2) さとうきび新政策の影響 さとうきび新政策の本則要件を満たす農家の割合は,収穫機械化の進展に規定され,零細農家の収穫機械化の進展の度合いが島全体の機械化率を左右している状況にある。そこで零細層の機械化率が高く,かつ近年,島全体の機械化が進みつつある奄美大島の事例の分析を行った。その結果,受託者の行動や公的組織の取り組みが潜在的な収穫委託の需要を掘り起こした面が大きいものと考えられた。さらに受託組合による条件不利地域の農家に対する補完も新政策の取り組みの進展に繋がっていた。
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