2010 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル下における離島農業・農村存立の論理と政策-南西諸島を対象として-
Project/Area Number |
21780208
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
坂井 教郎 鹿児島大学, 農学部, 准教授 (80454958)
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Keywords | 島嶼農業政策 / 島嶼農村政策 / サルデーニャ / EU農村振興政策 / 条件不利地域政策 |
Research Abstract |
EUの共通農業政策の中の条件不利地域政策の中での離島地域の扱いについて明らかにするために,イタリア・サルデーニャ島の行政機関,農協,農家への調査を実施した。 EU共通農業政策は,第1の柱の市場政策と第2の柱である農村振興政策に大きく分けられる。条件不利地域政策は第2の柱に含まれ,その中の第2軸である「環境と景観の改善」に現在位置づけられている。従来のLFAと呼ばれていた条件不利地域政策はNHPに変わり,その目的が人口維持から自然環境の維持へと移りつつあるように,社会経済的な基準が考慮されなくなる傾向にある。しかしながら現状では国別の基準によって条件不利地域の指定がなされており,イタリア国内でも人口密度等の社会経済的な事情も考慮されている。 サルデーニャ島では多くの地域が条件不利政策の中の「山岳以外の条件不利地域」として扱われ,第2軸の予算額イタリア国内ではシチリア島についで大きく,第2軸の予算は農業振興予算の半分以上を占めている。中でも「山岳以外の条件不利地域」の予算は第2軸予算の22.5%と大きく,受給面積はイタリア全体の56%,受給農家数では33%を占めている。また同島の農家所得に占める条件不利地域支払の額は約6%である。このように島嶼地域であることによる条件不利地域予算がサルデーニャ農業には多く投入されている。しかし同予算の申請手続きは農協が代行し,農家レベルでは企業的な農業経営であっても条件不利地域支払に関しては十分に把握されていない。
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