2012 Fiscal Year Annual Research Report
食料危機における地域経済統合の食料安全保障上の有効性・問題点に関する研究
Project/Area Number |
21780212
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
小島 泰友 東京農業大学, 国際食料情報学部, 准教授 (90508235)
|
Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2013-03-31
|
Keywords | 食料危機 / 食料安全保障 / 農産物貿易 / 地域貿易協定 / 自由貿易協定 / NAFTA / 大豆 |
Research Abstract |
2011年、米国の大豆生産量減少(前年比-8%)に伴い、同国の大豆輸出が19%減少した。世界全体では2%の減産となった。同年、大豆の国際価格は2008年の食料危機の史上最高値を上回った。米国の大豆輸出の8割は、東アジア(7割)・NAFTA加盟国(1割)であり、これらの国々への輸出減少は7%、10%に留まったが、中東(近隣国含む)・アフリカ・南米の国々への輸出は、それぞれ57%、32%、51%減少した。 この大豆価格高騰の中で、米国の中東に対する輸出価格は、同国の輸出平均価格を約8%上回った。トルコの場合、米国からの大豆輸入が前年比で60%減少し、ブラジル・アルゼンチンからの輸入はそれほど伸びず、消費量(在庫処分量を除く)は25%減少した。トルコの大豆輸入先は、パラグアイ・ブラジル・アメリカ・ウクライナ、アルゼンチンの5ヵ国に分散されているが、このように不安定な状況が露見された。 一方、NAFTA加盟のメキシコ(一人当たりGDPと大豆油生産量がトルコと近い水準)の場合、米国からの輸入減少率は12%で、在庫処分量を除く消費量は10%の減少で留まった。またカナダの場合、同国への米国の輸出価格は米国の輸出平均価格を4%下回り、輸入は増加した。 トルコは、米国にとって世界で13番目に多い大豆輸出先であるが、メキシコのようにほぼ100%米国から輸入できれば、米国にとって5番目(中国、メキシコ、日本、台湾に次ぐ)に重要な輸出先になりうる。輸入先を多国に分散し過ぎることで1国当たりの取引量が減少してしまうと、その輸入国に対する輸出国から見た重要性が低下すると考えられる。その場合、不測の事態においてどの国からも重要視されなくなる恐れがある。食料安全保障を目的に輸入先を分散する場合、他の輸入国と比べて十分な取引規模を重要輸入先との間で維持した上で、他の輸入先を確保していくことが重要であろう。
|
Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(1 results)