2011 Fiscal Year Annual Research Report
GISとGPSを用いた圃場分散型コントラクタの空間分析
Project/Area Number |
21780217
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Research Institution | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
Principal Investigator |
西村 和志 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 九州沖縄農業研究センター・作物開発・利用研究領域, 主任研究員 (60373247)
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Keywords | 農業経済学 |
Research Abstract |
これまでの研究で、多圃場分散型コントラクタにおいてTMRセンター等による対象圃場群の一元管理や利用者間による農地利用調整で収穫作業効率(圃場間移動効率)が改善されうることが事例的に示されている。本年度は、昨年度までにGPSによる作業データの収集・解析を行ったコントラクタを対象に、農地利用調整による収穫作業効率改善効果をTSPシミュレートにより検証を行った。 前年度までの結果から、対象コントラクタでは総作業時間に占める圃場間移動時間の割合が15~20%と大きく、この移動ロスの削減が収穫作業全体の効率化につながることが示唆されている。そこで、各コントラクタにおいて利用者間の農地利用調整、具体的には全圃場を最短で結ぶ経路に沿って農地を再配分・割り当てる戦略の下での収穫作業効率の評価を行った。なお、シミュレートにはArcGISおよびエクステンションのNetworkAnalystを用いたカスタマイズプログラムを開発・利用している。 シミュレートの結果、対象コントラクタではそれぞれ10ポイント以上の圃場間移動時間割合の低下および収穫作業日数の短縮が見られた。また、最短経路戦略の下では圃場分散度と圃場間移動時間割合の関係が明確でなく、一律に5~6%の移動時間割合となっている。これらのことから、多圃場分散型コントラクタの運営においては、圃場位置の把握、適切な作業計画の策定、利用者間の情報共有および農地利用調整が作業効率の改善に寄与することが定量的に示された。 なお、本研究で用いたGPSによる作業データの収集・解析手法やArcGISおよびNetworkAnalystを用いたカスタマイズプログラムは類似事例の分析・評価やコントラクタの運営支援ツールとしても活用が期待できる。上記の分析結果とともに、これら分析手法・ツールについても今後マニュアル化を図っていきたい。
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