2009 Fiscal Year Annual Research Report
ハス田における水質汚濁負荷削減に向けた営農計画の構築
Project/Area Number |
21780220
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
牧山 正男 Ibaraki University, 農学部, 准教授 (20302333)
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Keywords | ハス田 / 霞ヶ浦 / 汚濁負荷削減 / 営農計画 / レンコン収穫方法 / クワ掘り / 水圧掘り / 新技術導入論 |
Research Abstract |
本研究の目的は,霞ヶ浦周辺のハス田を対象として,水質汚濁負荷の削減に向けた営農計画を構築することである.具体的には,耕地ごとの作期および作業の分散による排水量の調整や,排水権の設定による負荷抑制対策の実効性について検討することを主な研究課題に設定した. 本研究では,「収穫作業の時間をずらすことや,作業を同時間に行わざるを得ないのであれば,隣接したハス田ではなく,離れたハス田で作業する(ジェット噴流が周辺のハス田に流出することから,水位上昇が緩やかになる)ことなど,作業体系ごと見直すべき」との仮説を立てたが,これに関連する調査として,平成21年度は,全国の主要なレンコン産地における収穫作業の方法について広範に調査した.また,それをもとに,レンコン収穫方法の変遷について,新技術導入の観点から考察した. その結果,収穫方法を「クワ掘り」と「水圧掘り」の2者に大別し,それぞれの利点と課題について整理できた.霞ヶ浦周辺で行われているのは水圧掘りだが,霞ヶ浦においてはこの収穫方法が水質汚濁の一因であると報告されているものの,他地区では必ずしも問題視されていなかった.すなわち,霞ヶ浦周辺に独自の事情が関係すると考えられる. また,水圧掘りは,伝統的なクワ掘りに対して新技術であり,なおかつ作業効率を鑑みても明らかに上位技術である.しかし伝統的なクワ掘りを行っている地区が多く残っている.その理由について,「新技術導入を判断する過程」(牧山ら,2001)を応用して考察した.すなわち,同様にクワ掘りを継続している地区でも事情が異なり,愛知県愛西市は冬期の利水ができないために水掘りを行えないのに対し,佐賀県白石町や岡山県連島は水掘り導入が可能ではあるものの,水圧掘りだとレンコンの品質やその後の生育に影響するために経営的に難があり,結果的にクワ掘りが選択されていることを把握した.
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