2009 Fiscal Year Annual Research Report
白色脂肪の褐色化機構の解明:新規肥満治療法の開発に向けた基礎研究
Project/Area Number |
21780261
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岡松 優子 Hokkaido University, 大学院・獣医学研究科, 助教 (90527178)
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Keywords | 褐色脂肪 / 脱共役タンパク質 / 脂肪細胞 |
Research Abstract |
当初の実験計画にしたがって、レンチウイルスベクターを用いて脂肪組織特異的に目的遺伝子を発現させるための系の確立を試みた。レンチウイルスベクターの作製とin vitroでの発現確認には成功したものの、in vivoでは実験に十分な発現量が得られなかったため、実験計画を変更した。 脂肪細胞特異的に細胞周期が停止するトランスジェニックマウスは褐色脂肪に関して興味深い形質を示すことがわかった。すなわち、トランスジェニックマウスは褐色脂肪組織をほとんど持たず、褐色脂肪による熱産生が重要である寒冷環境下(4度)では体温を維持することができなかった。トランスジェニックマウスにおいて褐色脂肪の形成が著しく抑制されるメカニズムを探るため、ウェスタンブロット法により褐色脂肪組織におけるいくつかのタンパク質の発現量を調べた。すると、トランスジェニックマウスの褐色脂肪では細胞増殖マーカーであるPCNAの発現量が低下し、反対に細胞増殖を抑制する因子であるリン酸化Rbタンパク質量は増加していた。これらの結果から、褐色脂肪の組織形成には成熟褐色脂肪細胞の分裂・増殖が必須である可能性が考えられた。 一般的に脂肪組織は、前駆脂肪細胞の増殖とそれらの成熟脂肪細胞への分化により維持されていると考えられている。上記のトランスジェンックマウスから得られた結果は、これまでの想定を大きく覆す可能性があるため、現在褐色脂肪形成不全のメカニズムについて詳しく解析を行っている。
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