2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21780274
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小林 剛 京都大学, ウイルス研究所, 助教 (90324847)
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Keywords | デングウイルス / サルモデル |
Research Abstract |
本研究はデングウイルス(DV)の病態発現機序の解明ならびにワクチン開発に有用なデング熱・出血熱病態サルモデルを確立することを目的としている。平成22年度は、本研究課題を遂行するため、以下の研究を実施した。 1)フラビウイルスにおける新規リバースジェネティクス系の開発 フラビウイルスの一般的なリバースジェネティクス系は合成したウイルスRNAを細胞内に導入することで組換えウイルスの作出を行っている。本研究では、より効率の高いリバースジェネティクス系の開発を目的とし、DVと同属のダニ媒介性脳炎ウイルス(TBEV)でウイルスゲノム全長cDNAを直接細胞内に導入することにより、組換えウイルスを作出できるplasmid-basedリバースジェネティクス系の開発を行った。更に、TBEVフルゲノムcDNAを重複領域(100bp前後)を含むように複数の断片に分割したフラグメントを細胞に同時に導入することでも(相同組換えリバースジェネティクス系)、組換えウイルスの作出に成功した。現在、この系をDVに応用している段階であり、DVにおけるこの系の確立は高病原性を示す組換えウイルス作出のため極めて強力なツールになると考えられる。 2)サルにおけるウイルス増殖能の検討 デングウイルスのサル病態モデルの開発を目指して、アカゲザル2頭にデングウイルス2型、4型(3x10^7PFU)を静脈内接種した。感染2~3日後で血中に約3×10^3コピーのウイルスRNAが検出されたが、デング熱・出血熱様症状は観察されなかった。サル馴化DVを作出するため、サル単球由来マクロファージ(MDM)に感染させたところ、DVはアカゲザル由来MDMと比較して、ボンネットモンキー由来MDMで効率よく複製することが示された。この結果から、ボンネットモンキーもDV病態モデルの開発に有用であることが示唆された。
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