2010 Fiscal Year Annual Research Report
MHC拘束性克服可能なリポソームワクチンを応用した抗ベロ毒素分泌型IgAの開発
Project/Area Number |
21790086
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
黒羽子 孝太 静岡県立大学, 薬学部, 助教 (90333525)
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Keywords | 免疫学 / 粘膜免疫 / ワクチン / 薬学 / 感染症 / IgA / 分泌片 |
Research Abstract |
本研究の目的は、免疫原性が低く抗原性を示さない抗原に対しても分泌型IgAを効果的に誘導する経粘膜ワクチン、および腸管出血性大腸菌が産生するベロ毒素に対する治療用分泌型IgAの開発である。腸管出血性大腸菌由来のベロ毒素の糖鎖認識サブユニット(Stx1B)が抗原性を示さない原因として、抗原提示細胞の主要組織適合遺伝子複合体(MHC)クラスIIに抗原由来ペプチドが提示されにくいためと考えられている。抗原性を改善するためにStx1Bと、MHCクラスIIに提示されT細胞を活性化することが可能なペプチドを共存させたリポソームを作製し、実験動物であるマウスに対して経粘膜免疫を行い、その効果を検討した。しかしながら、効率良く粘膜免疫を誘導可能なペプチドやリポソームは確立されなかった。 次に、分泌型IgAをin vitroで作製する方法について検討した。生体内では二量体IgAが上皮細胞を通過する際にpoly-Ig受容体の一部である分泌片(SC)が結合して分泌型IgAが形成される。これまで、抗原であるStx1Bで免疫して粘膜免疫を賦活化したマウスから、二量体IgAを産生するハイブリドーマを作製した。しかしながら得られた抗Stx1B抗体には分泌片は結合していないために粘膜へ適用できない。そこで、分泌型IgAを作製するために得られた二量体IgAを組換え型SCと反応させた。その結果、分泌型IgAを作製することが可能であった。またpoly-Ig受容体を発現させたMDCK細胞の単層培養を用いた検討より、二量体IgAが上皮細胞を通過する際にpoly-Ig受容体と結合し分泌型IgAを得ることが出来た。これらの方法を用いることで、in vitroでの分泌型IgAの作製が可能となる。
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