2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21790124
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
沖本 憲明 The Institute of Physical and Chemical Research, 高速分子シミュレーション研究チーム, 副チームリーダー (30333321)
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Keywords | 分子動力学 / 量子化学 / 結合親和性 / QM / MM法 / FMO法 / MM-PB / SA法 / MP-CAFEE法 |
Research Abstract |
医薬品開発におけるリード最適化の目的は、化合物探索により検出された医薬品候補化合物に化学修飾を施し、より強い薬理活性を持つ化合物に改変することにある。この際、一般的には、薬物動態や毒性などを十分に考慮しながら、ターゲット分子との結合親和性を出発構造の約1000倍以上向上させる必要がある。ところが、実際の創薬現場では、旧来の創薬化学による試行錯誤が行われており、合成担当者の直感や経験により合成候補化合物の選択が行われている。従って、リード最適化プロセスの合理化を図るためにも高性能な計算手法の導入が期待されている。リード最適化で考慮すべきパラメータ(結合親和性、薬物動態、毒性)のうち、結合親和性を高精度に計算機シミュレーションにより予測できればその作業効率は大幅に向上すると考えられる。現在までタンパク質―リガンドの結合親和性を評価する様々な計算技法が開発されているが、リード最適化を目的として分子シミュレーション技法の精度、コスト等を評価することはあまりされていない。そこで、ポケット構造の異なる数種のタンパク質(FK506-binding protein, cyclin dependent kinase 2等)をターゲット分子とし、4つの計算手法(FMO法、QM/MM法、MM-PB/SA法、MP-CAFEE法)の性能評価を試みた。現在までの結果、MP-CAFEE法により予測された結合親和性と実験データは極めて高い相関係数を示した。一方、MP-CAFEE法と比較すると性能は低くなるものの、計算コストの少ないMM-PB/SA法、QM/MM(MP2/6-31G),FMO(MP2/6-31G)から算出された結合親和性でも実験値と比較的良い相関(0.8-0.9程度)が示された。これら計算精度と計算コストの情報を基に、各計算技法のリード最適化へ有効性の研究を行っている。
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Research Products
(3 results)