2010 Fiscal Year Annual Research Report
主要フィトカンナビノイドによるヒトCYP1A1遺伝子の発現誘導機構の解明
Project/Area Number |
21790135
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Research Institution | Hokuriku University |
Principal Investigator |
山折 大 北陸大学, 薬学部, 助教 (40360218)
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Keywords | 大麻 / フィトカンナビノイド / カンナビジオール / ヒトCYP1A1 / HeG2細胞 / AhR / PTK / A549細胞 |
Research Abstract |
ヒト肝がん由来HepG2細胞において、CBDがAhRを介してヒトCYP1A1の発現を誘導するさらに詳細な機構を明らかにするため、CB_1およびCB_2受容体の発現をPCR法により解析した。その結果、HepG2細胞には、いずれのカンナビノイド受容体も発現していなかった。したがって、CBDによるCYPIA1の発現誘導において、少なくともこれら受容体の関与はないものと考えられた。 これまでに、AhRを介したCYP1A1の発現誘導機構として、3-メチルコラントレンの様なAhRリガンドがAhRに直接作用し転写を活性化させるものと、オメプラゾールの様にAhRには直接作用しないが、細胞膜に局在するチロシンキナーゼ(PTK)などの細胞内シグナル伝達経路を介してAhRを活性化するものが知られている。そこで、CBDによるCYP1A1発現誘導におけるPTKの関与を明らかにするため、PTK阻害剤(herbimycin-A)を用いて発現解析を行った。その結果、CBDによるCYP1A1の発現誘導能は、herbimycin-A処理により有意に抑制された。本実験条件は、オメプラゾールによるCYP1A1の発現誘導能をherbimycin-Aが効果的に抑制するのに対し、3-メチルコラントレンによるCYP1A1の発現誘導能は抑制しないことを確認している。これらの結果から、CBDによるCYP1A1の発現誘導機構には、オメプラゾールの様なPTK活性化経路も存在することが示唆された。 ヒト肺がん由来A549細胞におけるAhR、ARNTおよびAhRRの発現量は、HepG2細胞に比べて低い傾向を示した。また、A549細胞には、HepG2細胞と同様、いずれのカンナビノイド受容体も発現していなかった。これらのことから、検討した遺伝子の発現パターンではHepG2細胞とA549細胞におけるCBDおよびCBNのCYP1A1発現誘導機構の差を説明できないことが示された。
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Research Products
(2 results)