2010 Fiscal Year Annual Research Report
薬物動態関連遺伝子の量的多様性発現への肝転写因子HNF3およびHNF6の関与
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21790165
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
大関 健志 独立行政法人理化学研究所, 遺伝情報解析チーム, 研究員 (30334402)
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Keywords | 遺伝子 / 発現制御 / 薬剤反応性 / 転写因子 |
Research Abstract |
本研究では、HNF3およびHNF6遺伝子の全翻訳領域および5`-上流領域における遺伝的多型を探索し、各転写因子の機能におよぼす質的あるいは量的な影響を考察することを目的とした。 1.HNF3およびHNF6遺伝子に認められた遺伝的多型の下流遺伝子の発現制御への影響の検討 HNF3およびHNF6遺伝子の全翻訳領域および5`-上流領域における遺伝的多型を探索し、各転写因子の機能に及ぼす質的あるいは量的な影響を考察するために、HNF3α、HNF3β、HNF3γ、HNF6αおよびHNF6β遺伝子を含む各領域におけるtag-SNPsをHapMapより抽出し、抗癌剤であるドキソルビシン投与による消化器毒性の発現を指標とした関連性解析を行った。その結果、HNF3γ遺伝子5`-上流領域において2箇所(P=8.1×10^<-3>、Odds ratio (OR)=3.8およびP=6.5×10^<-3>、OR=4.9)、HNF6β遺伝子3`-非翻訳領域において1箇所(P=2.6×10^<-2>、OR=8.3)の、ドキソルビシンによる消化器毒性発現と関連性が認められるSNPsを同定した。そこでこれらの各SNPをそれぞれminimal promoterの上流に連結したルシフェラーゼレポータープラスミドを作成し、ヒト肝癌由来HepG2細胞にてルシフェラーゼアッセイを行い、各SNPが転写活性に与える影響を検討した。各SNPを含む領域は、minimal promoterに対して正もしくは負の調節能を示したが、SNP間での調節能の違いは認められなかった。したがって、これらのSNPsは、連鎖不平衡にある別のSNPを介して間接的にHNF3γおよびHNF6βの機能に影響をおよぼしている可能性が示された。
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