2010 Fiscal Year Annual Research Report
大腸癌の抗癌剤感受性を予測するバイオマーカーの同定と臨床的応用
Project/Area Number |
21790168
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Research Institution | Himeji Dokkyo University |
Principal Investigator |
高良 恒史 姫路獨協大学, 薬学部, 准教授 (00329939)
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Keywords | 癌 / 薬剤反応性 / マイクロアレイ / バイオマーカー |
Research Abstract |
本研究の目的は、大腸癌化学療法で汎用される抗癌剤、すなわち抗腫瘍性白金錯体及び5-フルオロウラシル(5-FU)に焦点を絞り、抗癌剤感受性と相関するバイオマーカー候補を網羅的に探索し、抗癌剤感受性を効果的に予測できる癌細胞由来のバイオマーカーを同定することである。 前年度に得られた網羅的遺伝子解析結果に基づいて、YES-1とPIM-2遺伝子の機能的役割について検討したが、抗腫瘍性白金錯体に対する感受性規定因子としての寄与は低いことが示唆された。そこで、抗癌剤の細胞内動態に影響する酵素類及びトランスポータ類に絞り込み検討した結果、シスプラチンのIC_<50>値は、DNA修復関連酵素BRCA1及びBRCA2 mRNA発現量と比較的高い正の相関を示した。しかしながら、他の抗腫瘍性白金錯体の場合、今回検討した因子の中に、抗癌剤感受性と関連性を示すものは認められなかった。一方、5-FUのIC_<50>値は、トランスポータであるMRP2及びMRP5 mRNA発現量と正の相関を示すことが明らかとなった。以上の結果より、シスプラチン及び5-FU感受性は、それぞれ異なる因子の影響を受けることが示された。 これらの情報を基に、抗腫瘍性白金錯体に高い感受性を示す細胞と低い細胞の蛋白発現を網羅的に解析した結果、両細胞で1648種の蛋白発現を確認できた。そのうち、高感受性細胞と比較して、低感受性細胞で高い発現(>2倍)を示した蛋白は200種類であり、逆に低い発現(<1/2)を示した蛋白は156種類であった。抽出された蛋白には、鉄イオンの恒常性維持に関与するGLRX5や重金属の解毒に関与するGSTなどが含まれていた。今後、これらの抗癌剤感受性に及ぼす影響を検討することにより、抗癌剤感受性予測のための新たなバイオマーカーの発見につながるものと考えている。
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Research Products
(2 results)