2010 Fiscal Year Annual Research Report
薬物トランスポーター機能評価のためのPETプローブの探索
Project/Area Number |
21790171
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
高島 忠之 独立行政法人理化学研究所, 分子プローブ動態応用研究チーム, 研究員 (80469907)
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Keywords | Positron Emission Tomography (PET) / 薬物トランスポーター / 肝胆系輸送 / 腎排泄 / Abcg2 / Celecoxib |
Research Abstract |
薬物トランスポーターの機能をin vivoで評価するため、特定のトランスポーターの基質となるPETプローブの探索を計画通り進めた。本研究2年目の22年度の成果として、21年度に見出した新規PETプローブ評価結果の進捗について報告する。これまでに、Celecoxib代謝物であるSC-62807の^<11>C標識化による新規PETプローブ化に成功し、またin vitro輸送試験の結果から、SC-62807はBCRPを介して輸送されることが明らかとなった。この結果により、^<11>C標識化SC-62807を用いることで、BCRPの機能をヒトin vivoでフェノタイピングできる可能性が期待されている。 本年度には、その前段階として[^<11>C]SC-62807を用いて正常マウスや薬物トランスポーターノックアウトマウスにおける肝胆系輸送や腎排泄に関わるPET評価を行った。正常マウスにおいて、[^<11>C]SC-62807を静脈内bolus投与後、血中放射能は速やかに減少し、放射能は主に肝胆系輸送、腎排泄により消失されることがPET画像として確認された。血中、肝臓中、胆汁中の放射能は未変化体の[^<11>C]SC-62807由来であった。更に、Bcrp(Abcg2)のノックアウトマウスを用いた[^<11>C]SC-62807を用いたPET評価では、放射能の胆汁排泄や腎排泄が劇的に低下し、血中への放射能濃度の滞留が見られた。以上から、[^<11>C]SC-62807は殆ど代謝を受けずに、主にBcrpを介して胆汁排泄されている可能性が示され、[^<11>C]SC-62807の肝胆系輸送に関わる薬物トランスポーターの機能を反映していることが動物試験により実証された。
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