2011 Fiscal Year Annual Research Report
Fcドメイン含有タンパク質の生体内分布・分解と半減期に関する研究
Project/Area Number |
21790172
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
鈴木 琢雄 国立医薬品食品衛生研究所, 生物薬品部, 主任研究官 (10415466)
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Keywords | FcRn / Fc受容体 / 半減期 / 分布 / 抗体医薬品 |
Research Abstract |
抗体医薬品やFcドメイン融合タンパク質医薬品のようなFcドメイン含有医薬品では、新生児型Fc受容体(FcRn)との親和性が体内動態に大きな影響を与えると考えられる。FcRnはFcドメインと結合することで、細胞に取り込まれたIgGを分解から保護し、血中へリサイクルするため、FcRn親和性が低いと血中半減期が短くなると考えられる。また、FcRnは細胞内経路を介したlgG輸送にも関わっているとされており、FcRn親和性が体内分布に影響を与える可能性が考えられる。申請者はこれまでに、血中半減期の短いFcドメイン融合タンパク質は抗体医薬品と比較してFcRnに対する親和性が低いこと等を明らかにしてきたが、FcRn親和性の違いが体内分布に与える影響については未解明である。医薬品の体内分布は、有効性・安全性に関わる重要な要素であるため、蛍光イメージング法を用いて解析した。 本年度は、結合標的が同一(TNFα)の抗体(インフリキシマブ等)と融合タンパク質(エタネルセプト)のFRET型標識体をマウスに投与し、FcRn親和性の違いが分布、分解に与える影響について解析した。インフリキシマブ等の抗体とFcRn親和性が低いエタネルセプトでは、臓器蓄積性や分解に大きな違いは無かった。一方、アミノ酸置換によりFcRn親和性を大幅に低下させた改変抗体では、肝臓への蓄積性が高くなる等の差が顕著に認められた。FcRn親和性が融合タンパク質と抗体のように数倍程度の垢値の違いであれば生体内分布に大きな影響を与えない可能性があるが、さらにFcRn親和性が変化すると、生体内分布への影響は大きくなると考えられる。抗体の血中半減期延長のためにFcRn親和性を大幅に上昇させる場合や、抗体を薬物等で修飾することで、FcRn親和性が大幅に低下する可能性がある場合等では、体内分布について十分に考慮する必要があると考えられる。
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Research Products
(4 results)