2010 Fiscal Year Annual Research Report
生物発光イメージングを用いた軟骨分化における生物時計の機能の解明
Project/Area Number |
21790195
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
權 赫準 北海道大学, 大学院・医学研究科, 特任助教 (90447045)
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Keywords | 軟骨形成 / 分子時計 / ATPのウルトラディアンリズム / 生物発光イメージング / ATP wave / 細胞間のコミュニケーション- |
Research Abstract |
この研究の目的は軟骨形成に重要な分子時計システムを同定し、その機能を明らかにすることにより軟骨形成の分子機構を解明することである。軟骨分化モデル細胞に常時発現のActinプロモーターにそれぞれATPと酸素両方に依存して発光する鉄道虫ルシフェラーゼ遺伝子(PxRe)と酸素のみに依存するウミシイタケルシフェラーゼ遺伝子(ReBl)を融合した二つのレポーターを同時に導入し、リアルタイムで生物発光イメージングを行った結果、ATPが6-8時間周期で、また酸素が3-4時間周期で振動することが分かった。また、代謝物質を網羅的に分析した結果、解糖過程と酸化的リン酸化とに関与している代謝物質がATP振動のピックとトローフの間で有意に差があることが分かった。さらに解糖過程と酸化的リン酸化をそれぞれ阻害すると両方ともウルトラディアンリズムが抑制されることが分かった。これらの結果から軟骨分化中に代謝レベルで分子時計が存在し、それが重要な役割をすることが分かった。個々の細胞レベルでActin-PxReの発光強度をリアルタイムで計測した結果、軟骨分化誘導後にすぐにはATPのウルトラディアンリズムが誘導されないが三日後から急に個々の細胞が同調しながらATPのウルトラディアンリズムを誘導することが観察された。さらに、低倍率でリアルタイムイメージングした結果、ATPのウルトラディアンリズムが細胞間のリレーで長距離離れた細胞まで伝わり、ATP waveが誘導されることが明らかになった。この結果から、ATPのウルトラディアンリズムの誘導には細胞間のコミュニケーション-が重要な役割をすることが分かった。 軟骨のパターン形成において分子時計が重要な役割をすることが知られているが、まだその分子時計は見つかってない。それで、今回の実験で軟骨分化中に誘導されるウルトラディアンリズムが骨格のパターン形成を調節する新しい分子時計である可能性が考えられる。
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Research Products
(3 results)