2009 Fiscal Year Annual Research Report
セラノスティックス利用による癌個別化医療技術の開発と機能実証
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21790202
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
韓 小建 Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (20509393)
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Keywords | 癌 / ErbB2受容体 / p53タンパク質 / セラノスティックス / 分子イメージ |
Research Abstract |
研究目的 Therapuetics(治療法)とDiagnostics(診断法)を合わせたTheranostics(セラノスティックス:治療的診断法)は、これからの癌治療において中心的な概念である。本研究では、癌細胞のみを標的として特異的に殺傷するタンパク質と標的となる細胞において発光するタンパク質を組み合わせることにより、治療と診断の両方を同時に行う技術を開発し、その有効性を細胞レベル(in vitro)と動物実験モデル(in vivo)において実証することを目標とする。 研究成果 平成21年度 癌細胞を特異的に標的とするEC1、発光診断イメージングに使用するガウシアルシフェラーゼ(Gluc)、癌抑制タンパクp53cという3種類の機能を有するタンパク質EC1-Gluc-p53cを作成し、in vitroでの研究を行い、以下の様な結果を得た。 1. EC1-Gluc-p53cプラスミドをデザインし、大腸菌より大量生成した。その後、FPLCにより純度の高いEC1-Gluc-p53cタンパク質を得た。 2. ウェスタンブロッティング法を用い、SKOv3でErbB2が高発現していることを確認した。また、ErbB2を発現しないMCF7、HEK293細胞では、ErbB2が発現していないことを確認した。 3. 作成したEC1-Gluc-p53cのin vitroでの有効性を検討した。上記SKOv3、MCF7、HEK293の3種類の細胞にEC1-Gluc-p53cを投与し、ルシフェラーゼの基質セレンテラジンを加えることによる発光イメージングにおいてErbB2を発現しているSKOv3細胞で発光が確認できた。 4. EC1-Gluc-p53cを投与し、TUNEL染色で行い、ErbB2を発現しているSKOv3細胞でアポトーシスが起こっていることを確認した。細胞増殖抑制効果の判定には、WST-1アッセイを用い、SKOv3で抑制効果が認められた。 5. これらの実験によって、EC1-Gluc-p53cという新しい治療・診断タンパクがin vitroにおいてErbB2を高発現する細胞に特異的な発光イメージングとして働き、抗腫瘍効果を示すことが確認できた。 得られた研究成果の意義と今後の展望 セラノスティックス(治療的診断法)を行うために重要なin vitroでの有効性が証明できた。今後、in vivoにおいて、癌特異的診断イメージングと癌特異的縮小効果の有効性実証性の証明を行い、分子標的型医薬品の開発が期待される。さらに、セラノスティックス利用による癌個別化医療技術の開発が可能となる。
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