2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21790284
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
嶋 雄一 九州大学, 医学研究院, 助教 (80425420)
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Keywords | ライディッヒ細胞 / テストステロン / エンハンサー / 核内受容体 / 内分泌 / 発生 / 分化 / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
申請者は本年度、胎仔型ライディッヒ細胞の機能を解明するために、細胞特異的Cre発現マウスを作成し、コンディショナルノックアウトマウスの作成・解析を行った。 まず、申請者自身が同定したAd4BP/SF-1 (Nr5a1)遺伝子の胎仔型ライディッヒ細胞特異的エンハンサーを用いて、胎仔型ライディッヒ細胞特異的Cre発現マウスを作出し、このCre発現マウスをAd4BP/SF-1 floxマウスと交配することにより、胎仔型ライディッヒ細胞特異的Ad4BP/SF-1遺伝子ノックアウトマウスを作出した。このマウスの胎仔期の表現型を解析した結果、1.精巣下降が生じず停留精巣となっていること、2.アンドロゲンを産生する成熟した胎仔型ライディッヒ細胞が消失し精巣組織中のテストステロン濃度も著しく減少していること、そしてその結果として、3.外生殖器の形態がほぼ完全にメス化していることが明らかになった。 以上の結果から、胎仔型ライディッヒ細胞が胎仔期のテストステロン合成を介して外生殖器のオス化に寄与していること、また精巣下降に必須であることが、遺伝子工学的手法によって初めて証明された。また同時に、Ad4BP/SF-1が胎仔型ライディッヒ細胞の分化と機能発現に必須であることが証明された。興味深いことに、胎仔型ライディッヒ細胞の機能がほぼ完全に消失したにもかかわらず、精巣のその他の細胞であるセルトリ細胞や生殖細胞の分化には影響が認められなかった。また、テストステロン依存性に発達すると考えられていた精巣上体はノックアウトマウスにおいても正常であり、過去の報告と矛盾する結果であった。 現在、このマウスの成獣期における表現型を解析中であり、胎仔型ライディッヒ細胞の生後の機能を明らかにしたうえで報告したいと考えている。
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Research Products
(4 results)