2009 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス脆弱性と抗うつに関わる中枢神経細胞内分子機構の基礎研究
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21790376
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
笠原 二郎 Tohoku University, 大学院・薬学研究科, 講師 (10295131)
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Keywords | うつ病 / 疾患モデル動物 / ストレス / 神経再生 / カルシウムシグナル |
Research Abstract |
本研究の目的は、マウスによるストレス脆弱性モデルを利用し、ストレス負荷によって惹起される、うつ・不安関連行動の成績低下と神経新生率の変化が、回転車エクササイズ(RWE)によって改善されるのかどうか、また抗うつに機能すると考えられるCaMKIVの欠損や活性化によってどのように変化するのかを、関連する詳細な分子機構と共に明らかにすることである。 平成21年度にはまず、マウスを用いたストレス脆弱性モデルの確立を試みた。新生マウスに対して、生後3日目から17日目まで毎日午前の3時間、母親と隔離する母性隔離ストレスを加えた。その後、生後4週目までは通常の哺育期間をおき、また離乳後は雌雄別に通常飼育で12週齢まで飼育した。情動関連行動の試験としては、オープンフィールド、高架式十字迷路、強制水泳、尾懸垂、新規性摂食抑制試験を行った。その結果、野生型マウスではうつ関連行動の有意な成績低下が認められ、このモデルの有用性が確認された。さらにCaMKIVノックアウトマウスにおいても、野生型マウスとは異なる行動異常がみられ現在継続して解析を行っている。これらの行動実験の後に、試験動物の脳から前頭皮質・線状体・海馬・扁桃体を摘出して凍結保存し、研究協力者であるイタリア・ミラノ大学のMaurizio Popoli博士に送付し、プロテオミクスによる今後の解析を委託した。 また、自発性RWE負荷システムを構築するため、回転車、ファイバーセンサー、データ収集装置、コンピューターからなるシステムを自作し、野生型マウスを用いて実験条件の確立を図っている。 なお研究代表者は2009年11月末日をもって東北大学を辞し、12月1日より徳島大学に異動した。従って平成21年度の本研究内容は実質約半年間で行われた。実験システムそのものを新しい勤務地で再立ち上げして、RWEシステムの条件確立を継続すると共に、神経新生率の計測を行っている。
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Research Products
(3 results)