2010 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス脆弱性と抗うつに関わる中枢神経細胞内分子機構の基礎研究
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21790376
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
笠原 二郎 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (10295131)
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Keywords | うつ病 / 疾患モデル動物 / ストレス / 神経新生 / カルシウムシグナル |
Research Abstract |
本研究の目的は、マウスによるストレス脆弱性モデルを利用し、ストレス負荷によって惹起される、うつ・不安関連行動の成績低下と神経新生率の変化が、回転車エクササイズ(RWE)によって改善されるのかどうか、また抗うつに機能すると考えられるCaMKIVの欠損や活性化によってどのように変化するのかを、関連する詳細な分子機構と共に明らかにすることである。 平成22年度には、研究者が前年度12月に東北大学から徳島大学に異動したため、新任地の動物飼育施設においてノックアウトマウスコロニーの確立と実験系の再セットアップを行った。ところが5月に、同施設において他研究者が飼育する複数のマウスから肝炎ウイルス(MHV)が検出され、全飼育動物の殺処分を余儀なくされた。このため施設の消毒および再開作業を実施し、また前任地から凍結胚を取り寄せて新たに個体化と増殖を行い、新たなコロニーを確立しつつ、実験系と実験条件の再確立を行った。 一方、細胞レベルでの詳細な分子機構を検討するため、マウス大脳皮質初代培養神経細胞を用いてセロトニンによるCREBリン酸化反応を検討した。その結果、セロトニン刺激によって3型セロトニン受容体が活性化され、これが1分以内にCaMKIVの活性化とそれに引き続くCREBリン酸化反応の上昇を引き起こすことが示唆された。また刺激3分後のCREBリン酸化反応は、3型セロトニン受容体阻害薬オンダンセトロンで阻害されず、この時ERK/MAPKの活性化が起きていることから、CaMKIVの初期CREBリン酸化反応に引き続き、ERK/MAPKがCREBリン酸化反応に関与することが示唆された。
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Research Products
(10 results)