2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヘリコバクター・ハイルマニイ感染と胃MALTリンパ腫形成の因果関係の検討
Project/Area Number |
21790427
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
関谷 幸江 Kitasato University, 北里生命科学研究所, 研究員 (10414054)
|
Keywords | ヘリコバクター / 胃MALTリンパ腫 / PCR / 胃バイオプシー / マウス感染モデル / 16SrRNA遺伝子 / 鳥肌胃炎 |
Research Abstract |
【研究の目的】平成19~20年度萌芽研究「ピロリ菌以外のヘリコバクター感染と消化器疾患の因果関係」(研究代表者:関谷幸江)の研究を継続し、全国規模で胃の臨床検体中のヘリコバクター属細菌の遺伝子検出をPCR法で行い、胃疾患と感染菌種の関係を明らかにする。同時にマウスへの感染実験により、ヘリコバクター・ハイルマニイ関連細菌(HHLO)の病原性を明らかにする。 【研究実施計画】主に5病院の患者の胃生検体からDNAを調製し、特異プライマーを用いてPCRを行い、感染菌種を同定した。一方、ヘリコバクター・ハイルマニイ感染が予め、分かっている患者から菌を分離し、雌のC57BL6/Jマウスに経口投与後経時的に解剖し、組織化学的解析を行った。 【研究成果】本年度の胃臨床検体は、MALTリンパ腫、胃食道逆流症、胃潰瘍、胃炎、胃癌、十二指腸潰瘍などである。このうちヘリコバクター・ピロリ陽性は、50%である。HHLO陽性者は、1%以下であった。しかしMALTリンパ腫に限定するとHHLO陽性は、40%以上であり、ヘリコバクター・ピロリとの混合感染が多かった。従って、胃MALTリンパ腫に限定するとHHLO感染が原因となる可能性が示唆された。来年度以降も臨床検体の解析を継続し、研究の最終年度に結論を導く予定である。また、昨年、鳥肌胃炎の患者から分離されたヘリコバクター・スイス(HHLOに属する)を感染させたC57BL/6Jマウスは、感染10ヶ月後に胃粘膜上に肉眼でも確認できる大きさのB cellリンパ濾胞が形成された。このことは、HHLO感染が胃MALTリンパ腫形成の原因となることを強く示唆するものである。
|