2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21790457
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
渡部 綾子 北海道大学, 大学院・医学研究科, 博士研究員 (00533423)
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Keywords | 二重鎖RNA / 膜受容体 / Toll-like receptor3 |
Research Abstract |
本研究は、細胞内に存在するToll-like receptor 3(TLR3)が細胞外からの二重鎖RNA(dsRNA)を認識する際に必須であるdsRNA受容体を同定し、dsRNA取り込み機構を明らかにすることを目的としている。22年度の計画として、細胞膜受容体を介したdsRNAの取り込みからTLR3認識までの細胞内シグナル伝達の解析を行うこととしていた。21年度においてdsRNA受容体精製を目的としたMS解析より細胞質内に存在しTLR3を介したdsRNA認識に重要な役割を担っているRaftlinを得ることに成功した。RaftlinはTLR3を介したdsRNA認識に重要な役割を担っていることから、細胞質内Raftlinがpoly(I:C)の細胞質内の輸送に関与すると仮定し、共焦点顕微鏡を用いて蛍光ラベルしたpoly(I:C)とRaftlinの関係を明らかにすることを試みた。poly(I:C)の取り込みに細胞表面の受容体を介することを明らかにしているHeLa細胞、ヒトの単球由来樹状細胞を用いて定常状態とRaftlinをノックダウンさせた状態でのpoly(I:C)の取り込みの差を観察した。その結果、HeLa細胞とヒト樹状細胞では、Raftlinをノックダウンさせるとpoly(I:C)の細胞内取り込みと細胞質内拡散が観察されなかった。また、定常状態のヒト細胞において、poly(I:C)刺激によってRaftlinは細胞膜に移動し、TLR3が発現している初期エンドソームでpoly(I:C)とTLR3との共局在が観察された。一方マウス細胞ではRaftlinとRaftlin-2が存在しており、Raftlin-2をノックダウンさせるとヒト細胞と同様にpoly(I:C)の細胞内取り込みと細胞質内拡散が観察されなかった。以上のことから、ヒトとマウスの両者においてRaftlinはpoly(I:C)の細胞内輸送に関わる分子の一つであると考えられる。これらの成果を2010年8月に行われた国際免疫学会議にて発表済し、J. Biol. Chem.(in press)に投稿済みである。
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Research Products
(2 results)