2010 Fiscal Year Annual Research Report
胸腺Sirpα+樹状細胞の機能的特徴と自己免疫寛容における役割の解明
Project/Area Number |
21790464
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
馬場 智久 金沢大学, がん研究所, 助教 (00452095)
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Keywords | 胸腺樹状細胞 / CCR2 / 免疫寛容 / 血中抗原 / clonal deletion / 制御性T細胞 / central tolerance |
Research Abstract |
昨年度の研究から、Sirpα+胸腺樹状細胞(tDC)は血中タンパクを効果的に取り込むことから、血中抗原を標的とした免疫寛容の誘導に重要である可能性が示唆された。Sirpα+tDCによる、血中抗原に対する中枢性自己免疫寛容(central tolerance)の誘導機構の解明を通した、自己免疫疾患治療への臨床応用を目指し、ovalbumin(OVA)抗原特異的T細胞レセプター遺伝子導入(DO11.10)マウスを用いて本年度行った解析から、以下の結果を得た。(1)Sirpα+tDCは、静脈投与したOVAタンパクを特異的に取り込み、胸腺皮質領域に分布している未熟T前駆細胞に対して、効果的に抗原を提示できた。(2)抗原特異的T細胞レセプターを発現した未熟T前駆細胞は、中程度の強さの抗原提示では制御性T細胞へ、強い抗原提示によってはclonal deletionによりapoptosisが誘導されることから、抗原提示の強度依存的に分化成熟過程が決定された。(3)これらの現象は、Sirpα+tDCの部分的欠損を呈するCCR2欠損マウスでは減弱することから、本tDCサブセットによる作用であることが確認された。 Central toleranceシステムにおける、本tDCサブセットの特徴的な機能を利用し、マウス遅延型過敏反応モデルを用いて臨床応用の可能性を検討した。その結果、胸腺内において、血中に投与した抗原特異的な制御性T細胞を分化させ、さらに生じた抑制T細胞を末梢に動員することで、同抗原に対する過剰免疫反応を顕著に抑制することに成功した。これらの結果に関して、現在論文作成中であり、自己免疫疾患に対する、新しい治療概念の確立に寄与することが期待される。
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Research Products
(6 results)