2009 Fiscal Year Annual Research Report
鍼灸臨床における安全対策と鍼灸師養成施設における安全教育に関するアンケート調査
Project/Area Number |
21790510
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Research Institution | Meiji College of Oriental Medicine |
Principal Investigator |
新原 寿志 Meiji College of Oriental Medicine, 鍼灸学部, 助教 (70319523)
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Keywords | 鍼灸安全性 / 安全性教育 / アンケート調査 / 開業鍼灸院 / 鍼灸師養成学校 |
Research Abstract |
鍼灸の安全性に関するアンケートは、iタウンページ(http://itp.ne.jp/)に登録の開業鍼灸院20, 450件から6,000件を抽出し無記名式で行った(平成21年10-12月)。 アンケートの回答者は、51.4±12.5歳(平均±標準偏差)、免許取得後年数は22.0±12.4歳であった。鍼治療について、副作用では気分の不調17.5%、過誤では皮下出血65.7%、事故では使用済み鍼の施術者への誤刺5.8%が最も多く、次いで気胸1.9%が続いた。灸治療について、副作用では気分の不調1.6%、過誤では意図しない熱傷20.1%、事故では髪の毛を焦がした15.4%が最も多かった。副作用および医療過誤等についてのインフォームド・コンセントは、口頭のみが60.8%であり、口頭と書面で行うは12.3%に留まった。 感染防止対策として、ディスポーザブル鍼(ディスポ鍼)の単独使用率は62.3%、非ディスポ鍼との併用は24.0%であった。一方、手洗いをしないあるいは水洗いのみが12.5%、布タオルの使用が64.7%、手指消毒をしない5.8%、施術野の消毒をしない2.2%であった。また、高圧蒸気滅菌器と紫外線保管庫の使用率はそれぞれ53.3%、35.3%であり、肝炎ワクチンの摂取率は19.5%であった。 過去のデータ(1995年-)と比較して、ディスポ鍼の使用率や適切な手洗いや手指消毒の実施率は増加しているものの、未だ問題のある施術を行っている実態が明らかとなった。また、全体の47.6%が自院の安全対策および感染防止対策は不十分であると回答しており、学校教育のみならず卒後教育の充実が課題であることを示唆された。しかしながら、代表的な業界団体((社)全日本鍼灸学会、各都道府県の(社)鍼灸師会等)への加入率はいずれも15-35%と低く、卒後教育の難しさが浮き彫りとなった。
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