2009 Fiscal Year Annual Research Report
細胞死を制御するマイクロRNAの同定とその癌化における役割
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21790533
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
辰巳 直也 Osaka University, 医学系研究科, 寄附講座助教 (60512960)
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Keywords | マイクロRNA / WT1遺伝子 / 細胞死 |
Research Abstract |
がん細胞で高発現し抗アポトーシス機能を果たしているWT1遺伝子は,抗癌剤処理によるアポトーシス誘導時に、その濃度依存的に発現抑制をうけることを見出した。本研究では、抗癌剤誘導性アポトーシス時にWT1の発現抑制因子として働き、アポトーシス経路を活性化しうるmiRNAの同定を試みた。まず、未処理の胃癌細胞株と抗癌剤処理した胃癌細胞株からそれぞれ15nt-30ntの低分子RNAをクローニングし、それらのクローン頻度を比較することによって抗癌剤処理により発現誘導をうける低分子RNAを同定した。これら低分子RNAのなかから既知のmiRNAに焦点をあて、reporter assayによりWT1 mRNAを直接的に標的とするmiRNAの決定を試みた。その結果、3種のmiRNAがWT1を直接の標的としうることが明らかになった。これら3種のmiRNAはWT1を発現する固形癌細胞株において、WT1の発現を抑制しアポトーシスを誘導した。特に、あるmiRNA(miR-A:仮称)は最も効率よくWT1の発現を抑制し、それに相関して最も強いアポトーシス誘導能を示した。一方で、内在性miR-Aを阻害すると、抗癌剤誘導性アポトーシスが抑制されると同時に、WT1の発現抑制効果が軽減された。これらの結果は、miR-Aがアポトーシス実行過程においてWT1の発現抑制因子として働いていることを示している。さらに定量的real-time PCRにより、WT1を高発現している肺癌患者癌部においては非癌部に比べてmiR-Aの発現が低下していることを明らかにした。現在このmiRNAのノックアウトマウスの作成に着手しており、次年度では生体機能に及ぼす役割や、がん化において果たす役割を検討していきたい。
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Research Products
(3 results)