2010 Fiscal Year Annual Research Report
細胞死を制御するマイクロRNAの同定とその癌化における役割
Project/Area Number |
21790533
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
辰巳 直也 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座助教 (60512960)
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Keywords | microRNA / WT1遺伝子 / 細胞死 |
Research Abstract |
がん細胞で高発現し抗アポトーシス機能を果たしているWT1遺伝子は,抗癌剤ドキソルビシン処理によるアポトーシス誘導時に、その濃度依存的に発現抑制をうけることを見出した。本研究ではまず、未処理およびドキソルビシン処理後の胃癌細胞株からそれぞれ低分子RNAクローニングをおこない、クローニング頻度をすることにより、抗癌剤処理によって発現誘導をうける低分子RNAを明らかにした。そして、それらのなかから既知のmiRNAに焦点をあて、抗癌剤誘導性アポトーシス時にWT1を直接の標的としその発現を抑制するmiRNA(miR-A;仮称)を同定した。そこで本年は、miR-Aノックアウトマウスを作成し、miR-AによるWT1を含む標的遺伝子群の調節機構の破綻が生体に及ぼす影響、さらにがんの発症や進展において果たす役割を明らかにすることを目的とした。まずmiR-A前駆体をコードする領域をloxP配列で挟まれたNeo遺伝子に置換したマウスを作成した。このマウスとCAG-Creマウスの交配により、Neoを除去し、miR-A前駆体領域がloxP配列に置換したマウスを得た。miR-A(+/-)ヘテロ欠損マウス同士の交配によりmiR-A(-/-)ホモ欠損マウスを得た。miR-A欠損マウスの成体期における血液学的・病理組織学的解析による表現型スクリーニングから、miR-A欠損マウスは血液学的異常(骨髄増殖性疾患)および泌尿生殖器系の異常(水腎症、腎奇形)を呈していることが明らかになり、miR-Aが造血システムや腎発生に重要であることを示した。
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