2011 Fiscal Year Annual Research Report
日本人におけるヒト核内受容体遺伝子多型と疾患の関連研究
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21790549
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
池田 仁子 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教 (20415508)
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Keywords | フェノームスキャン研究 / ヒトCAR(NR1I3)遺伝子多型 / 疾患関連解析 / 高齢者連続剖検例 |
Research Abstract |
本研究は、核内受容体CAR(NR1I3)遺伝子多型と様々な疾患との関連を約1500症例の日本人高齢者連続剖検例において解析したフェノームスキャン研究である。 我々はこれまでに、hCAR遺伝子多型と悪性腫瘍や代謝性疾患、循環器系疾患等のフェノームスキャン解析から、造血器系悪性腫瘍と肺がんに関連する多型(rs2307424)、高脂血症に関連する多型(rs2307424)、そして動脈瘤に関連する多型(rs6686001)を見出した。次に、これらの多型をマーカーとしてTag SNPsを選出し、原因多型の探索を行い、APOA2遺伝子(rs3829793,rs3813627)やTOMM4遺伝子(rs3813628)の多型が高脂血症や血清HDLコレステロールレベルとも関連があることを示唆した。そして、hCAR 5'-UTR領域に存在するrs55802895多型のA-allele保持者は、高脂血症の罹患リスクが高くなることが示唆された。 そこで、これらの疾患関連遺伝子多型が、他の日本人集団でも同様の関連を示すのか、日本人の職域コホート集団を用いて再現性を確認する研究を行なった。対象者は、ある工場に勤務する日本人健常男性労働者約400人である。高齢者連続剖検例で疾患と統計学的に有意な関連を示した5種類の多型のうち、まず高脂血症と血清HDLコレステロール値と関連があったhCAR rs2307424とrs55802895多型について、TaqMan SNP Genotyping Assay法を用いて各多型の判定を行ない、高脂血症と血清の脂質レベルとの関連を解析した。その結果、rs55802895多型は日本人健常男性集団において、A-allele保持者の方が高脂血症の罹患率が高かった(OR=1.97,95%CI;1.18-3.29,p=0.01;AG+AA vs GG(reference))。また、この多型は血清中の中性脂肪レベルとも関連がみられ、A-alleleが増加すると中性脂肪レベルが高くなっていた。これら職域コホート集団での結果は、連続剖検例でのhCAR遺伝子多型と疾患との関連解析結果を支持する結果となった。
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Research Products
(1 results)