2010 Fiscal Year Annual Research Report
安静時心拍数がメタボリック症候群を進展させるかの疫学的研究
Project/Area Number |
21790589
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
佐藤 晃 久留米大学, 医学部, 助教 (80389246)
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Keywords | 社会医学 / 循環器・高血圧 |
Research Abstract |
心拍数の増加は心・血管病の予知因子であるという報告があり、高心拍数が肥満、交感神経活性、高血圧などに有意に関連しているという点が示唆されている。この代謝異常の重積は内臓肥満を中心とした肥満症、高血圧、脂質代謝および糖代謝異常の集合体であり、メタボリック症候群として注目を集めている。その基となるメカニズムは明らかではないが、交感神経活性がメタボリック症候群の鍵を握っている可能性がある。そこで我々は一般住民を対象とした疫学的縦断研究を行い、交感神経活性がメタボリック症候群への進展に関連しているという仮説を立て、それを実証することを本研究の目的とした。 福岡県田主丸町において、2009年春より約半年かけ大規模住民検診を実施した。受診者は計1943人で、全員に問診、各身体変量の計測、一般生化学検査、心エコー、頚動脈エコー検査、Food frequency法による栄養調査などを行った。受診者の安静平均心拍数は64.7±10/分で、60未満、61-69、70-79、80/分以上の4群に分けて解析を行った。年齢および性で補正した安静時心拍数が多い群ほど、収縮期および拡張期血圧、尿酸値、空腹時血糖、インスリン値、HOMA指数、LDLコレステロール値、アルドステロン値、活性型レニン値が有意に上昇していた。つまり、安静時心拍数は、メタボリック症候群を構成するコンポーネントである血圧、インスリン抵抗性や脂質代謝と明らかに関与しており、交感神経活性と関連するアルドステロン値、活性型レニン値とも有意な関連を認め、交感神経活性がメタボリック症候群の進展に関連している可能性が示唆された。結果は我々の研究室から第33回日本高血圧学会総会で発表した。 しかし2009~2011年までの観察期間では、経年数も短くメタボリック症候群を発症した人数も少なく、有意な関連は得られなかった。今後も追跡調査を行う予定である。
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