2009 Fiscal Year Annual Research Report
紫外線撮影による陳旧打撲傷診断法の実用化と受傷後経過時間推定への応用
Project/Area Number |
21790603
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
美作 宗太郎 Akita University, 大学院・医学系研究科, 教授 (50284998)
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Keywords | 社会医学 / 医療・福祉 / 法医学 / 小児虐待 |
Research Abstract |
紫外線撮影は法医学(法科学)の現場で有効な手法とされ、欧米では実際の鑑識の現場にも利用されている。しかしながら、小児虐待、高齢者虐待、家庭内暴力(Domestic Violence)の症例における陳旧打撲傷の診断という点では、具体的な撮影方法や撮影条件の体系化は進んでいない。今回の研究では、過去に打撲傷を受けた部位に紫外光を照射して、どの程度までの陳旧打撲傷を可視化出来るのかを探り、さらに紫外線撮影方法・撮影条件を検討した。当初の計画では、過去の複数の文献による知見に基づき、通常の紫外光を陳旧打撲傷に照射すれば、明瞭な可視化が期待でき、容易に紫外線撮影方法の検討に移行できるものと予想していた。しかし、実際は撮影前の紫外光による観察の段階で、紫外光の波長の違いによって可視化のレベルに差が生じることが判明した。即ち、一般に鑑識等で使用されている長波長の紫外光は複数の種類があり、主に製品化されているものは360nm付近の波長と390nm付近の波長に分類できる。これらを陳旧打撲傷に照射すると、360nm付近の紫外光では陳旧打撲傷の可視化は一般に困難で、撮影に耐えるとは考えにくく、390nm付近の紫外光でやや明瞭な観察が可能となった。長波長の紫外光でも波長によって陳旧打撲傷の可視化レベルが大きく異なることは予想外であったが、この知見は紫外線撮影の段階において記録の明瞭性に影響する重大な問題であるため、省略することはせず、むしろ詳細に検討した。結果的には分光器を導入して、使用する紫外光源ごとに紫外光の波長を測定しながら陳旧打撲傷の観察をするという基礎研究から開始せざるを得なかったが、適切な波長の判明に繋がったことは一つの成果だろう。次年度は基礎研究データを基に、紫外線撮影方法の検討や、測色学的評価と超音波診断装置を用いた皮下出血の深度と厚みとの関連性についても開始する予定である。
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Research Products
(5 results)