2010 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪肝ラットでのハロペリドールのトキシコキネティクス/トキシコダイナミクス研究
Project/Area Number |
21790607
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
池村 真弓 三重大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (30515490)
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Keywords | 脂肪肝 / ハロペリドール / トキシコロジー / 薬物中毒 / 薬物代謝 / 臓器分布 |
Research Abstract |
法医学実務において薬物関連死が疑われる症例では、死因判断に血中薬物濃度が用いられるが、必ずしも血中薬物濃度が全身状態を表していないことから死因判断に苦慮する場合が少なくない。当教室では、脂肪肝が抗精神病薬のHaloperidol投与に対し脆弱であることを明らかにしているが、薬物代謝変動因子について詳細は不明のままである。 本研究では前年度に引き続いて、血中濃度および臓器濃度双方から全身状態を把握し、臓器障害度による薬物中毒の診断基準の構築を目的とし、脂肪肝モデルラットにおけるHaloperidol投与時の血中濃度、薬物臓器分布、薬物代謝能およびその変動要因について検討を行った。 既報に従い脂肪肝モデルラットを作成した。Haloperidolを治療量として0.1mg/kg、中毒量として15mg/Kg投与後、経時的に血液と臓器を採取し、肝代謝酵素発現調節に関与する核内受容体のmRNA発現量および血中タンパク濃度を測定した。また、薬物投与3時間後に麻酔下にて開腹し、門脈カテーテルより肝血流量を測定した。その結果、核内受容体のPXR、CAR、AhRのmRNAは脂肪肝時に有意に低下しており、また脂肪肝時の有意な血中タンパク濃度低下が認められ、肝血流量は有意に増加していたものの、コントロールで認められた投与量増加による変動は認められなかった。 これらの結果は前年度に明らかにした薬物動態変動と一致するものであった。血中タンパク濃度および脂肪肝を示唆する生化学検査は法医学実務においても検査可能である場合があり、本研究は法医学分野における薬物中毒の診断基準を構築するための有用な基礎的知見であるといえる。
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Research Products
(5 results)