2009 Fiscal Year Annual Research Report
覚醒剤・向精神薬乱用者の中枢神経系および内分泌系における変性蛋白の解析
Project/Area Number |
21790612
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
石川 隆紀 Osaka City University, 大学院・医学研究科, 講師 (50381984)
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Keywords | 社会医学 / 細胞・組織 / ストレス / 蛋白質 / 薬物乱用 |
Research Abstract |
本研究の目的は覚せい剤・向精神薬乱用者の中枢神経系および内分泌系において,神経変性疾患時に上昇することが知られているアポリポプロテインの発現動態を解析することにある.視床下部・頭頂葉・海馬・中脳・下垂体・副腎について抗ヒトアポリポプロテインB(Apo B),E_4(Apo E_4),J(Apo J)抗体を用いて免疫染色し,死因別陽性細胞率の変化について検討した.頭頂葉のApoBおよびApoE_4陽性率は中毒死群では他死因群に比較して低値を示した.ApoJでは死因群間の差は認められなかった.視床下部のApoB陽性率は中毒死群では他死因群に比較して有意な高値を示した.ApoE_4では中毒死群および心臓死群において高値を示した.ApoJに死因間の明らかな差は認めらなかった.海馬のApoBは中毒死群および心臓死群において幅広い陽性率を示し,火災死群では特に高い染色率が認められた.ApoE_4の陽性率は全般に低値であったが,熱中症では高値,溺死群では低値を示した.ApoJには死因間の明らかな差はみられなかった.中脳黒質のApoBおよびApoE_4についてはいずれも中毒死群と他死因群との差はみられなかった.ApoJは鋭器損傷群では低値を示した.下垂体では,ApoBおよびApoE_4が中毒死群の一部で高値を示し,ApoJは高い陽性率を示したが死因群間の差はみられなかった.副腎髄質では,ApoBが鋭器損傷および熱中症で低値を示すものの,中毒死群と他死因群の差は認められなかった.副腎髄質におけるApoBおよびApoJの死因間の差は認めらなかった.これらの結果から,中毒死群において視床下部などの細胞中のアポリポプロテインの変化が認められ,薬物の中枢神経細胞および内分泌細胞への影響が示唆された.
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Research Products
(3 results)