2009 Fiscal Year Annual Research Report
TGF-β・Notch協調による腸上皮化生進展および胃食道癌幹細胞誘導機序の解明
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21790647
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
浅野 直喜 Tohoku University, 病院, 医員 (20526454)
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Keywords | ヘリコバクター・ピロリ / TGF-β / 腸上皮化生 / NFkB |
Research Abstract |
上部消化管における腸上皮化生の発生には、ホメオボックス遺伝子Cdx2の発現が深く関与しているが、その発現・制御に関しては未だ不明な点が多い。そこで腸上皮化生進展に重要な役割を果たしているCdx2の発現制御機構を免疫学的な観点から解明することを目的として検討を進めている。このため、胃癌培養細胞株GCIYおよびAGSに対して種々の条件下でH.pyloriを感染させ、Cdx2の発現制御機構について検討した。各種インヒビターを用いた検討から、H.pylori感染によるCdx2の発現にはNFκBの活性化が必要であることが判明した。また、CagA陰性H.pylori感染ではCdx2が誘導されないことから、Cdx2の発現には細胞表面のTLR2ではなく、細胞内の機構が重要であることが判明した。これらの結果から、H.pyloriに対する細胞内受容体であると考えられているNOD1がNFκBを活性化し、Cdx2の発現を誘導することが想定されたが、実際にはNOD1をノックダウンすることによりCdx2の発現は増強された。このことは、NOD1を発現しているAGSに較べ、その発現が弱いGCIYにおいて、H.pylori感染によるCdx2の発現がより強く誘導されることをも説明していると考えられ、現在NOD1ノックアウトマウスを用いてin vivoの検討を進めている。さらに、以上の結果からH.pylori感染によるCdx2の発現は、CagAによる直接的なNFκB活性化により起こるものと考えられだが、この過程にはTRAF6によるTAK1の活性化が関与していることが知られている.このTRAF6を介したTAK1活性化は、TGF-βレセプターによっても誘導されることが報告されており、実際、TGF-βによりCdx2が誘導されることが判明した。現在、この誘導発現機構の解明を、Notch1も含めた観点から進めている。
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