2010 Fiscal Year Annual Research Report
病的心筋リモデリングにおけるrho依存性転写共役因子MRTF-Aの役割の解明
Project/Area Number |
21790719
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宇佐美 覚 京都大学, 医学研究科, 医員 (30521752)
|
Keywords | 心筋リモデリング / 遺伝子転写調節 / アンジオテンシンII |
Research Abstract |
本年度本申請研究では、昨年から継続して、病的刺激に対する心筋細胞のストレス反応におけるMRTF-Aの役割をMRTF-Aノックアウトを用いて詳細に検討した。具体的には、MRTF-Aノックアウトにたいして大動脈結紮による慢性心肥大モデルを作製し、その生理学的、生化学的、分子生物学的解析を行い、圧負荷心肥大におけるMRTF-Aの役割を解析し、MRTF-Aが圧負荷による心肥大に重要な役割を果たしている結果を得た。また、アンジオテンシンII投与による心肥大モデルも作製したところ、同様にMRTF-Aノックアウトマウスでは心肥大反応が現弱していた。さらに、いずれの実験においても、これらモデルの表現形質の観察に加え、心臓からたんぱく質、RNAを抽出し、SRF標的遺伝子およびその産物の発現などについての生化学的あるいは分子生物学的解析を行い、MRTF-A KOでは複数のSRF標的遺伝子の発現の肥大心における発現亢進が減弱していることを見出した。またMRTF-Aの心肥大反応における役割の分子機序を詳細に明らかにすべくin vitroの解析も行った。具体的にはMRTF-A KOおよび野生型マウスの心室から抽出したmRNAを用いたDNAマイクロアレイを行い、複数の成長因子やサイトカインの発現に差異があることを見出し、更に研究を継続している(未発表)。また心臓ホルモンであるBNPの遺伝子発現亢進もMRTF-A KOでは減弱していたことから、その遺伝子プロモーター領域を解析したところ、BNP遺伝子制御領域に新たにSRF結合部位を同定することに成功し、BNPが新たなSRFの直接的な標的遺伝子であることを明らかにした。以上の成果は論文として発表した。
|