2010 Fiscal Year Annual Research Report
三次元心エコー図を応用した可変弾性モデルによる心室メカニクス解析
Project/Area Number |
21790725
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
谷口 学 岡山大学, 岡山大学病院, 医員 (10360273)
|
Keywords | 心機能 / 拡張能 / 三次元心エコー図 / 圧容積関係曲線 / 心房中隔欠損症 / カテーテル治療 |
Research Abstract |
詳細な心機能評価は心室容積と心室内圧の同時記録により行われるが、心室容積の記録は大径の高額なカテーテルを経動脈的に挿入して行う必要があった。近年進歩の著しい三次元心エコー図を用いて、非侵襲的に心室容積を記録して、さらに三次元心エコー図で得られる心筋重量も加味した左室拡張機能の評価を行うことが目的であった。当初の研究実施計画では、心室容積計測は三次元経胸壁心エコー図を用いて行う予定であったが、十分な画質をもつデータが得られにくかったため、本年度は研究計画を一部変更して、全身麻酔下に三次元経食道心エコー図を挿入して行う経カテーテル的心房中隔欠損閉鎖術治療患者を対象として研究をすすめた。結果として9症例に対してデータ収集を行うことができ、症例を重ねるごとに三次元心エコー図データの画質は向上していったが、研究期間内に正確な圧-容積関係曲線により定量的評価法を確立するには至らなかった。 心エコー図検査室で行われる三次元心エコー図による容積計測や重量計測は、MRIとの比較において、強い相関を認めるとの報告が多数あるが、カテーテル検査室における三次元心エコー図を用いた左室容積計測は、時間の制約や患者の体位といった制限があり、下大静脈閉塞により左室容積が小さくなった状態では、さらに心内膜トレースによる容量計測が難しくなった。従って、カテーテル検査室で行う三次元心エコー図による容積計測は、通常の心エコー図検査室で行うものとはことなり、あらためてvalidation studyを行う必要性があると思われた。しかし、圧容積関係により心機能評価を行う場合、コンダクタンスカテーテルによる左室容積計測は、大径の高価なカテーテルを経動脈的逆行性に左室内に挿入する必要があり、またMRIによる容積計測は左室圧の同時記録が難しい。今後三次元心エコー図装置の時間分解能、空間分解能の改善や、データ取得手順の簡略化、ソフトウェアの利便性の向上により、容積計測の精度が向上した場合には、持ち運び可能で非侵襲的な心エコー図は大きく貢献すると思われる。 また、経カテーテル的心房中隔欠損閉鎖術後の拡張不全評価に関して、容積関係曲線による解析は行えなかったが、圧曲線による9例(46.2±17.1歳、14歳~63歳)の治療前後における検討は、治療後の左室拡張末期圧は治療前と比較して有意に高くなっていたが(10.9±5.0mmHg vs. 14.9±6.7mmHg,p=0.015)、左室拡張末期圧の変化とシャント量、欠損孔サイズ、治療前の左室拡張末期圧、peak negative dp/dt、Tauいずれとも有意な関連は認めなかった。しかし、症例数が少なく、今後のさらなる検討が必要であると思われた。
|
Research Products
(4 results)