2011 Fiscal Year Annual Research Report
骨粗鬆症・血管石灰化の発症並びに病態の進展における老化制御因子の関与
Project/Area Number |
21790815
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
木戸 慎介 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 特任助教 (30437652)
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Keywords | 老化 / 腎不全 / 骨不全 / 血管石灰化 / 骨粗鬆症 |
Research Abstract |
老人性骨粗鬆症の発症に酸化ストレスが関与することは周知の事実であるが、その分子機序とりわけ骨芽細胞分化における関与を明確に示した成績は少ない。申請者は抗老化因子MBF-1が加齢に伴う骨量減少に関わるか否かを明らかにするため、正常若齢(7週齢)及び老齢(32週齢)マウスの骨組織におけるMBF1の発現を比較した。その結果、骨でのMBF1タンパクの発現は老齢マウスにおいて著しく減少していた。なおMBF1タンパクの量はMG132手ナックにより回復することからプロテアゾーム経路への依存性が示唆された。次に骨芽細胞分化における当該分子の役割を調べた。骨芽細胞前駆細胞株(ST2)はBMP-2刺激でALP陽性骨芽細胞へと分化するが、これは内因性MBF1のknockdownにより減弱した。またMBF1を恒常的に発現するST2株を樹立し、各細胞系列への分化誘導能を検討したところ、骨芽細胞分化能の亢進とともに脂肪細胞分化能の低下を認めた。培養骨芽細胞株は過酸化水素刺激により高濃度では細胞死が、低濃度であっても細胞分化の抑制がみられるが、MBF1恒常発現株ではその影響は軽微であった。以上の成績からMBF1は酸化ストレス負荷に抗することで骨芽細胞分化促進・脂肪細胞分化抑制を介して骨形成を正に制御している可能性が示唆された。MBF1の機能発現に関してより詳細な解析を加えたところ、MBF1は転写因子JunDと結合することを見いだした。JunDは骨形成サイトカインInterleukin(IL)-11の転写促進に重要な鍵因子であり、加齢に伴いその発現が減少することを見いだしている。さらなる解析の結果、JunDは酸化ストレス負荷(酸化修飾)により活性が低下するが、MBF1は遺伝子プロモータ上でJunDとの直接的結合を介してJunDを酸化ストレスから保護し、IL-11の転写を促進することを見いだした。以上の成績からMBF1はJunDとの相互作用を介してIL-11の産生増加並びに骨芽細胞分化を促進するとと、注たその活性低下はJunDの機能低下及びIL-11の産生低下を招き、これが加齢に伴う骨量減少の一因となり得る可能性が示された。
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Research Products
(10 results)