2009 Fiscal Year Annual Research Report
難治性慢性免疫性ニューロパチーへの抗モノクロナール抗体療法の応用
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21790839
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
飯島 正博 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, COE特任助教 (40437041)
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Keywords | 免疫性ニューロパチー / 難治性ニューロパチー / MMN (multifocal motor neuropathy) / IgM MGUSニューロパチー / 新規治療法 / rituximab |
Research Abstract |
免疫機序が病態に関与する末梢神経疾患(免疫性ニューロパチー)は、CIDP、GBS、MMN、IgM MGUSニューロパチーやシェーグレン症候群や血管炎に伴うニューロパチーなど多岐にわたり、これらにはIVIgやステロイドをはじめとする免疫療法の単独ないし複数の有効性が報告されている。一方で、これらの従来型の治療法に反応しない症例群がいずれの疾患にも存在し、治療抵抗性をもたらす病態機序の解明や新規治療法の開発が期待されている。難治性ニューロパチーの病態には細胞性免疫や未知の自己抗体の関与が推定されているが、本研究では主に液性免疫因子への分子標的薬による介入を試みた。CD20の発現が特徴のB cell系システムへの選択的モノクローナル抗体であるrituximabは、悪性リンパ腫をはじめとする血液疾患への有効性ならびに安全性がすでに確立しており、他の免疫性疾患への応用が容易に期待できる。 本研究では特に液性免疫因子の関与が示唆されるIgM MGUSニューロパチーに着目し、rituximabの有効性を臨床所見、電気生理(末梢神経伝導検査)、客観的感覚閾値(CASE IV)、IgM抗体価やガングリオシド抗体等の血清学的評価をもとに検討している。今までに名古屋大学倫理委員会の審査および承認を得た男性1例のMMNと3例のIgM MGUSニューロパチー(男性2例、女性1例、全例が抗MAG抗体陽性)について、悪性リンパ腫に準じたrituximabの投与プロトコール(375mg/体表m^2、週1回点滴静注、計10回)で投与し、各評価項目を収集しつつある。初回投与後の経過観察期間の最長は約10ヶ月であるが、研究からの離脱を余儀なくされた副作用は全症例で認めていない。現時点での治療効果は良好であり、運動機能(QSS)と感覚障害の改善、感覚閾値検査における客観的感覚障害の改善が得られている。電気生理所見では主に遠位潜時の短縮など脱髄所見の改善が著明であり、フローサイトメトリーによるCD20陽性細胞の消失を確認し、その後のIgM抗体価については変動を観察中である。現在までに従来型の治療に反応しない難治性ニューロパチーに対する新規治療法として有効性が期待できることが明らかになりつつある。現在も倫理審査待ちの症例が待機しており次年度以降も症例の蓄積が望める状況にある。
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Research Products
(19 results)