2009 Fiscal Year Annual Research Report
膵ベータ細胞スフィンゴ脂質受容体を標的とした新規2型糖尿病治療法の開発
Project/Area Number |
21790858
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
水上 浩哉 Hirosaki University, 大学院・医学研究科, 助教 (00374819)
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Keywords | スフィンゴ脂質 / ベータ細胞 / 2型糖尿病 / G蛋白共役受容体 / S1P1 / Gi / β細胞増殖 / インスリン分泌 |
Research Abstract |
Pdx-1をプロモーターとしたCreマウスとS1P1遺伝子にloxP配列を挿入したβ細胞特異的S1P1ノックアウトマウス(βS1P1KO)を作製した。 単離膵島を用いた実験では、βS1P1KOではS1P1 mRNA発現は約20%まで低下していた。しかしながら、コントロールに比し、体重、随時血糖、随時インスリン値の変化は見出せなかった。単離膵島を用いて5.6mM、16.7mMグルコース刺激インスリン分泌を検討したところ、明らかな差を見出せなかった。空腹時血糖はコントロールに比し、軽度低下し、インスリン値軽度上昇していた。そこで5.6mMグルコース濃度下で、5uM Forskolin、100uM IBMX存在下に100nM S1P刺激インスリン分泌を検討した。コントロールではS1P刺激によりインスリン分泌が低下したが、βS1P1KOではインスリン分泌が保持されていた(p<0.01)。単離β細胞を用いたwhole cell patch clumpでは5uM Forskolin、100uM IBMX存在下に500nM S1P刺激を行ったところ、コントロールではCa^<2+>振動が低下したが、βS1P1KOでは明らかな振動低下は見られなかった。単離膵島を用いたwestern blottingでは100nM S1P刺激によりMAP kinaseであるERK、P38、JNKのリン酸化がコントロールでは増加していたが、βS1P1KOで低は変化が認められなかった。 以上の結果から、確かにβS1P1KO膵島ではS1P刺激に対しGiシグナルが減弱していることが確認された。現在、臨床ではβ細胞におけるグルカゴン様ペプチド(GLP-1)シグナル活性化によるβ細胞保護作用が注目されている。GiシグナルはGLP-1によるGsシグナルを阻害していることが知られている。S1P1-Giシグナルの阻害は、JNK、p38活性化低下によるβ細胞ストレス抵抗性と共に、GLP-1シグナルの更なる活性化の可能性があり、臨床応用に対し有望と考えられた。
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