2010 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病性神経障害におけるグレリンの病態生理学的意義の検討と臨床応用
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21790877
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
椎屋 智美 宮崎大学, 医学部, 助教 (50524196)
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Keywords | グレリン / 糖尿病 / 糖尿病性神経障害 / 自律神経障害 |
Research Abstract |
糖尿病性神経障害の成因はポリオール代謝異常、血行障害、炎症など多因子の関与が考えられており、治療薬の開発も種々行われている。グレリンは、傷害心筋の再生および骨組織において骨新生を促進する作用など、傷害細胞の再生を促すことが明らかとなっている。グレリンの有する傷害細胞の保護・再生作用が、糖尿病性神経障害でみられる傷害された神経細胞に対して効果的なことが期待される。 1.糖尿病性神経障害に対するグレリン連日投与の効果 糖尿病性神経障害合併患者6名を対象としてグレリン1.0μg/kgを生理食塩水100mlに混注し、1日1回、2週間連日投与した。 その結果、神経障害の自覚症状はほぼ全例において、改善し、また神経伝導検査においても、後脛骨神経の神経伝導速度が全例で改善した。腓腹神経の神経伝導速度はやや低下した例もあったが、投与前には検出できなかった2例において、2週間の連日投与終了後には検出できるまで改善した。投与前と投与終了後の食事負荷試験をみると、インスリン分泌はグレリン投与によってやや低下したものの、糖代謝は悪化しなかった。その他、明らかな有害事象もなく、試験を終了した。 糖尿病性神経障害に対する有効な治療が確立していない現状において、グレリン1.0μg/kgの連日投与は、重篤な有害事象を生じることなく、糖代謝に悪影響も与えず、神経障害を改善する可能性があり、将来的には、糖尿病性神経障害に対する治療薬となりうると考えられた。
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Research Products
(2 results)