2009 Fiscal Year Annual Research Report
後天的グレリン分泌低下マウスを用いたグレリンの生理作用の検討
Project/Area Number |
21790893
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
有安 宏之 Kyoto University, 医学研究科, 助教 (50378650)
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Keywords | グレリン / GH(成長ホルモン) |
Research Abstract |
我々は、前年度までにヒトグレリンプロモーターのコントール下にヒトジフテリアトキシン受容体を発現するトランスジェニックマウスを作成した。このトランスジェニックマウスは、ジフテリアトキシン受容体を胃・十二指腸で発現しており、ジフテリアトキシン投与によってグレリン分泌細胞が減少し、血中グレリン濃度が低下する。離乳直後から5週間(3週齢から8週齢まで)、50ng/kgのジフテリアトキシンを週2回投与することによって、成長期に血中グレリン濃度が著名に低下したマウスを作成した。そのマウスを用いて、成長期におけるグレリンの成長やGH・IGF-1分泌に対する生理的役割を検討した。グレリン分泌が低下したマウスの血中GH濃度とIGF-1濃度はコントロールマウスと比較して有意な差はなかった。また、肝臓・骨・骨格筋におけるIGF-1のmRNA遺伝子発現も影響を受けていなかった。興味深いことに、オスの5週齢マウスにおいて、GHRH投与に対するGH分泌応答が著名に低下していた。この反応低下は一過性で、8週齢には分泌低下は認めなくなっていた。一方メスでは、このような、GHRHに対するGH分泌の一過性低下は認めなかった。しかしながら、血中・組織中における正常なIGF-1分泌を反映して、3週齢から8週齢にグレリンを分泌低下させたマウスは正常な成長パターン(体重・体長)を示した。このように、血中のグレリンは、成長ホルモン分泌や成長に関して、大きな役割を有していないことが示唆された。
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