2010 Fiscal Year Annual Research Report
血管ホルモンによる細胞代謝制御のメタボリックシンドロームと加齢における意義
Project/Area Number |
21790896
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
宮下 和季 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (50378759)
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Keywords | 血管ホルモン / ナトリウム利尿ペプチド / cGMP依存性蛋白キナーゼ(cGK) / 細胞代謝 / ミトコンドリア / メタボリックシンドローム / 加齢 / 骨格筋 |
Research Abstract |
本年度は加齢に伴う骨格筋ミトコンドリア機能不全と身体能力低下に焦点をあて、内分泌因子による骨格筋加齢治療の可能性を検討した。マウスは加齢に伴い筋力,持久力ともに低下した。筋力は20週から50週齢の間に大きく低下し、骨格筋重量,筋繊維径の減少を伴っていた。持久力は8週齢から100週齢の間に連続的に低下し、骨格筋ミトコンドリア活性低下と平行していた。筋量維持に重要なシグナルであるS6K1リン酸化は、筋力同様20週齢から50週齢の間に大きく低下した。骨格筋ミトコンドリア量維持に重要なシグナルであるAMPKリン酸化は8週齢から100週齢にかけて連続的に低下した。これらの結果より加齢に伴うS6K1活性低下が筋肉量と筋力低下に、AMPK活性低下が骨格筋ミトコンドリア機能と運動耐容能低下に大きく寄与することが示唆された。 加齢に伴い低下するホルモンの代表であるIGF-1は骨格筋S6K1シグナルを活性化して筋肉量を増やすことが知られている。IGF-1同様加齢に伴い低下するホルモンであり、成長ホルモン(GH)とIGF-1の分泌促進に関与するホルモンであるグレリンも直接あるいはGH/IGF-1を介した骨格筋作用が示唆されている。そこで浸透圧ポンプを用いて加齢マウスにGhrないしはIGF1を投与したところ、筋重量ならびに筋繊維径はGhr,IGF1どちらの投与においても増加し、筋力の改善も認めた。一方持久力はGhr投与で改善を認めたもののIGF1ではむしろ低下していた。骨格筋単離ミトコンドリア活性はIGF1投与により低下しGhrで改善していた。これらの結果よりGhrはIGF-1とは異なる固有の骨格筋作用を有し、加齢に伴う筋力,持久力の低下を効果的に改善する可能性が示唆された。
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Research Products
(6 results)