2010 Fiscal Year Annual Research Report
霊長類モデルを用いた間葉系幹細胞共移植による造血幹細胞ニッチ創出と生着促進効果
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21790922
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
増田 茂夫 自治医科大学, 医学部, 講師 (10396749)
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Keywords | 霊長類 / サル / 造血幹細胞 / 間葉系幹細胞 / 骨髄内移植 / 造血幹細胞ニッチ / 骨芽細胞性ニッチ / 生着 |
Research Abstract |
【背景】これまでマウス造血幹細胞移植の系で間葉系幹細胞(MSC)共移植による造血幹細胞(HSC)の生着促進効果が報告されてきた。今回われわれは霊長類モデルを用いて骨髄内移植(iBMT)におけるMSC共移植の効果を検証した。 【方法】カニクイザル自家移植の系で実験を行った(n=3)。まず自家のHSC(CD34陽性細胞)とMSC(骨髄ストローマ細胞)を分離・回収した。HSCは2等分してそれぞれ別のレトロウイルスベクター(G1NaまたはLNL6)で標識した。前処置としてTBI施行またはブスルフェクス(BU)静注の上、同一個体内でヘミ骨髄内移植を施行した。すなわち右側(右上腕骨・右大腿骨)にはHSCとMSCの共移植、左側(左上腕骨・左大腿骨)にはHSCの単独移植をそれぞれ施行し、評価は中立の腸骨骨髄・末梢血のほか、四肢骨髄で行った。生着後、二つの標識を区別するPCRを施行し、両群の生着への貢献度を定量した。 【結果】1頭目は移植後day46に腸骨骨髄のコロニーPCRを施行した結果、共移植群由来のCFUが48%(22/46)、単独移植群由来のCFUが11%(5/46)と、共移植群で明らかに高かった(4.4倍)。2頭目は移植後day28以降、白血球数が2500-3000/μlへと回復し、その約2%が標識されており(移植細胞由来)、その大半が共移植群由来であった。3頭目も末梢血の大半が共移植群由来であった。また移植後day39の四肢骨髄のコロニーPCRを施行した結果、共移植群由来のCFUが明らかに多く(2頭目では6倍、3頭目では1.6倍)、2頭目・3頭目ともに反対側骨髄への遊走・生着が認められた。 【結語】カニクイザルの自家骨髄内移植の系で解析した結果、MSC共移植群で造血細胞の生着率が高まることが示された。この効果はMSCの骨芽細胞分化を経ていわゆるosteoblastic nicheが創出されたことに因ると推察される。
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