2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21790924
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
松木 絵里 慶應義塾大学, 医学部, 研究員(非常勤) (80468503)
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Keywords | 造血器腫瘍 / リプログラミング |
Research Abstract |
本研究では細胞の分化に関与するエピジェネティックな修飾を変化させることにより、特に造血器悪性腫瘍のうち慢性骨髄性白血病の急性転化をはじめとし、骨髄異形成症候群から急性骨髄性白血病、真性多血症と本態性血小板血症から骨髄線維症または急性骨髄性白血病、濾胞性リンパ腫からびまん性大細胞型リンパ腫、monoclonal gammopathy of undetermined significance(良性M蛋白血症)から多発性骨髄腫への移行といった良性あるいは低悪性度の腫瘍から悪性度の高い腫瘍へと形質転換するものの原因の特定ならびにこれらを標的とした新規治療法の開発を行うことを目的とした研究を行った。本年度は慢性骨髄性白血病の急性転化から樹立された既存の細胞株を用いyamanaka factor (Sox2, Oct4, Klf4, c-Myc)の他、リプログラミングを促進する因子(バルプロ酸、MEK阻害剤等)を用いたリプログラミングを試みた。これまでの試みではこれら細胞株からはいわゆる多能性幹細胞は得られていない。併せて、造血器腫瘍において形質転換を起こしている因子を同定する試みとしてリンパ腫でありながら形質細胞の形態を呈するplasmablastic lymphomaの病態解析を行い、ストレス応答蛋白の一つであるXbp1(s)の発現が本腫瘍の形態的特徴に関与している可能性を同定した。またXbp1(s)の阻害作用を有するプロテアーゼ阻害剤であるbortezomibが本腫瘍の治療に有効である可能性を示した。このように腫瘍特異的な因子を既知のリプログラミング因子と併用することで、新規治療法の開発を今後の検討課題と考えている。
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