2009 Fiscal Year Annual Research Report
HIF-1/VHL制御系による造血幹細胞維持機構の解明と幹細胞増幅
Project/Area Number |
21790925
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
田久保 圭誉 Keio University, 医学部, 助教 (50502788)
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Keywords | 酸素代謝 / 低酸素応答 / 造血幹細胞 / 微小環境 |
Research Abstract |
本年度は誘導的HIF-1α欠損マウスとVHL欠損マウスの造血幹細胞機能を詳細に解析し、造血幹細胞におけるHIF-1/VHL制御系の重要性について解析した。若年のHIF-1α欠損造血幹細胞は、細胞周期が静止期を失っていた。骨髄移植に際しては幹細胞老化経路であるInk4a産物が上昇して、連続骨髄移植能が失われた。また、老化したHIF-1α欠損マウスでは、造血幹細胞の頻度と数の低下が認められた。さらにその際、骨髄有核細胞数の減少も認められ、骨髄不全状態を呈した。一方、VHLホモ誘導的欠損マウスは致死的であるため、骨髄置換マウスを作成して解析した。すると造血幹細胞分画の増加と細胞周期の遅延が認められた。ところが、一見造血幹細胞機能が増強されたかに見えるVHLホモ欠損条件下では骨髄生着能は完全に失われていた。この異常は両アレルのHIF-1α欠損によって回復した。以上の知見から、造血幹細胞にはHIF-1α蛋白が適切に(=多すぎず・少なすぎず)存在することが重要であることが明らかとなった。本課題の目標であるHIF-1/VHL制御系の調節による造血幹細胞を増幅・機能増強のために、次に、VHLホモ欠損よりはHIF-1αの活性化度合いが少ないVHLへテロ欠損造血幹細胞を用いて幹細胞機能を検討した。すると、骨髄移植時の骨髄生薪が改善されていた。この際、血球分化への影響は認められなかった。さらに、高齢マウス骨髄の解析を行ったところVHLへテロ欠損マウスでは、コントロールに比べて造血幹細胞分画の頻度と数が増加していることが認められた。以上を併せると、適切なHIF-1の活性化増強で幹細胞機能を増強できることが明らかとなった。
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Research Products
(8 results)