2010 Fiscal Year Annual Research Report
AIRE発現細胞株を用いた自己抗原遺伝子の制御機構の解析
Project/Area Number |
21790952
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
山口 良考 慶應義塾大学, 先導研究センター, 助教 (50365433)
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Keywords | 免疫学 / 胸腺 / 免疫学的寛容 / 自己免疫疾患 / AIRE |
Research Abstract |
自己免疫疾患の中では珍しい常染色体劣性遺伝の単一遺伝子疾患であるAPECED(自己免疫性多腺性内分泌不全症-カンジダ症-外胚葉性ジストロフィー)の原因遺伝子として同定された自己免疫調節遺伝子AIREは、胸腺における末梢組織特異的自己抗原(TSA : Tissue Specific Antigen)遺伝子の異所性発現を支配し、免疫学的寛容の成立に関与している。樹立した胸腺髄質上皮細胞由来の3種のAire^+細胞株(TEC1、TEC2、DC)は、様々なTSA遺伝子を発現しており、共培養した未成熟な胸腺細胞にアポトーシスを誘発する性質を備え、in vitroでネガティブセレクションを再現する。 本年度は、Aire^+細胞が高細胞密度で細胞分裂を停止してからAire mRNAの発現量が増加することを見出した。低細胞密度時に比べてTEC1では150倍、TEC2では100倍、DCでは60倍とAireの発現が増えていた。また、高細胞密度のAire^+細胞においては、一部の細胞でTSA遺伝子の発現量の増加も認められた(カルシウム感知受容体:10~700倍,インスリンII:5~40倍,チログロブリン:32倍)。さらに、自己抗原タンパクの分解や修飾に関与するイムノプロテアソーム特異的サブユニット(Psmb8:4~10倍,Psmb9:5~50倍,Psmb10:2~3倍)や調節ユニット(Psme1:2~4倍,Psme2:3~5倍)にも、高細胞密度のAire^+細胞の一部において発現量の増加が認められた。免疫学的細胞染色による解析において、多くの胸腺細胞がAire^+細胞に付着し、アポトーシスに陥り細断化されていたが、アポトーシスに陥らずに付着している胸腺細胞も観察された。
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