2009 Fiscal Year Annual Research Report
新生児糖尿病の網羅的な病因・病態の解明と分子診断アルゴリズムの作成
Project/Area Number |
21790965
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
鈴木 滋 Asahikawa Medical College, 医学部, 研究生 (80516394)
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Keywords | 新生児 / 糖尿病 / 遺伝子 |
Research Abstract |
新生児糖尿病は、臨床経過よりpermanent neonatal diabetes mellitus(PNDM)およびtransient neonatal diabetes mellitus(TNDM)に分類されるが遺伝的にheterogenousな疾患である。これまで、KCNJ11遺伝子およびABCC8遺伝子異常はスルホニルウレア治療が有効であること、6番染色体長腕6q24領域の過剰発現はTNDMを来すが、後に再発することが知られており、これらの同定は治療および予後推定の上で重要である。一方、30%の症例は原因不明である。今年度、原因の同定されていない23例の新生児糖尿病患者を対象にKCNJ11、ABCC8、6q24および日本人における頻度が不明であるINS遺伝子解析を施行した。その結果、これまで集積した症例も合わせ、19例のPNDMにおいて、KCNJ11変異を53%、ABCC8変異を16%、INS変異を11%に同定した。また、27例のTNDMにおいて、6q24異常を67%、KCNJ11変異を15%、ABCC8変異を7%に同定した。以上より、85%の分子基盤が判明し、また、INS変異は日本人PNDMの第3の原因であることを初めて明らかにした。この知見は、患者フォローのために、新生児糖尿病における遺伝子診断での確定診断の重要性を示すものである。 さらに新たな遺伝学的知見として、一組の一卵性双胎において、6番染色体部分ダイソミーがTNDMを呈することを初めて報告した。本症例では、同領域について母由来のアレルは同定されず、モザイクは否定的であった。従って、本症例の部分ダイソミーは、postzygotic recommbinationによらない、受精前からの形成を示唆する傍証であり、部分ダイソミー形成機序解明に寄与する知見と考えられる。
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Research Products
(8 results)