2010 Fiscal Year Annual Research Report
全身型若年性特発性関節炎におけるバイオマーカーの探索
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21791002
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
青山 三智子 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教 (40363981)
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Keywords | 臨床プロテオミクス / バイオマーカー探索 / 若年性特発性関節炎 |
Research Abstract |
全身型若年性特発性関節炎(sJIA)は病因が不明で、確立されたバイオマーカーが無いため診断は症状によって行われている。今回、血清学的診断を目的に、プロテオミクスの手法を用い疾患特異的バイオマーカーの探索を行った。解析には4名のsJIA患者血清を用い、非変性状態で一次元泳動を行った後SDS-PAGEを行い、Coomassie brilliant blueあるいは銀染色でスポットを可視化、プロファイリングを行い二次元ゲル上に分子マップを作成した。結果として鉄代謝に関わる蛋白群、脂質代謝に関わるリポ蛋白、補体やグロブリンなど免疫関連分子等の発現をみとめた。その発現パターンは過去に行った他の炎症性疾患と似通っていた。一方、解析全例でハプトグロビン遺伝子型はHp2-2であった。ハプトグロビン遺伝子多型は糖尿病や動脈硬化、薬物代謝などの罹患リスクにかかわることが示されており、sJIAに関しても病態における解析が必要と考えられた。またトランスサイレチンは全例で増加を認めた。トランスサイレチンはrapid turnover proteinであるが、sJIAで認められる肝障害や低タンパク状態では低下すると予想された。しかし今回の解析では相反する結果を認めた。トランスサイレチンはレチノールの全身への供給に関わるが、その制御については不明であり、レチノールや甲状腺ホルモンなど結合蛋白を含めた複合体解析をsJIAの病態解明のため今後の研究で行う予定である。sJIAは最重症例でマクロファージ活性化症候群(MAS)に移行することが知られている。当初はMAS移行の危険予測を解析目的の一つとして取り上げたが、該当症例が得られず解析できなかった。今後の検討課題としたい。今回行ったアプローチ方法はsJIAのみならず他の炎症性疾患診療に役立つ重要な解析手法と考えられ臨床への応用が期待できる。
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