2009 Fiscal Year Annual Research Report
ナトリウムチャネル遺伝子変異によって引き起こされるてんかん発病機序の解明
Project/Area Number |
21791020
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
荻原 郁夫 The Institute of Physical and Chemical Research, 神経遺伝研究チーム, 研究員 (30373286)
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Keywords | 脳神経疾患 / 脳・神経 / 神経科学 |
Research Abstract |
電位依存性ナトリウムチャネルα1サブユニット(SCN1A)遺伝子は、乳児重症ミオクロニーてんかんの責任遺伝子である。申請者は、これまでの研究成果から、SCN1A遺伝子突然変異によるパルブアルブミン陽性インターニューロンの異常発火が抑制性神経回路の障害を生じ、結果、けいれん発作が発現すると考えている。本研究は、SCN1A遺伝子を抑制性インターニューロン特異的に、あるいは興奮性神経細胞特異的に破壊した遺伝子操作マウスの作出と解析を行った。 今年度は、抑制性インターニューロン特異的ヘテロ接合体SCN1A遺伝子破壊マウスと興奮性神経細胞特異的ヘテロ、あるいはホモ接合体SCN1A遺伝子破壊マウスを作製した。抑制性インターニューロン特異的ヘテロ接合体SCN1A遺伝子破壊マウスは、極めて稀な例外を除く、ほぼ全例が生後一ヶ月までに死亡した。この抑制性インターニューロン特異的ヘテロ接合体SCN1A遺伝子破壊マウスの死亡率は、ヘテロ接合体SCN1A遺伝子ノックアウトマウスの死亡率(生後一月でおよ約70%)よりはるかに高かった。また、脳波記録を行った5匹中4匹にけいれん発作を認め、4匹ともけいれん発作直後に死亡した。一方、興奮性神経細胞特異的SCN1A遺伝子破壊マウスは、ホモ接合体でも、けいれん発作などの異常は認められなかった。以上の結果は、SCN1A遺伝子突然変異による抑制性インターニューロンの異常発火がけいれん発作発現機序とする申請者らの仮説を支持するとともに、興奮性神経細胞が病態を修飾する可能性があることも示唆する。
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Research Products
(5 results)