2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21791052
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
猪熊 大輔 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教 (30443956)
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Keywords | 皮膚炎症 / 再生学 |
Research Abstract |
現在、皮膚を含めた各臓器において骨髄幹細胞由来の分化した臓器細胞が存在することは確認できており、臨床応用に向けた前段階として種々の分野で疾患モデルマウスを用いた研究も行われている。本研究課題において、有効な治療方法の無い表皮水疱症の治療の開発として、骨髄幹細胞を用いた方法の基礎研究を行った。 本年度は表皮水疱症モデルマウスの1つであるBP180(VII型コラーゲン)ノックアウトマウスに対し、正常マウスから骨髄移植を行い検討した。表皮水疱症モデルマウスでは基底膜部に接着分子であるBP180が先天的に欠損しているため、皮膚に容易にびらん・潰瘍を形成し、また口腔内にもびらん・潰瘍を生じるため摂食障害がみられ生存率も低い。骨髄移植されたBP180ノックアウトマウスの皮膚の症状を経時的に観察し、骨髄移植の臨床効果(皮膚症状の肉眼的観察、ダーモスコピーによる皮膚の観察、病理組織の観察)を検討し、正常に分化した骨髄由来の表皮細胞が欠損するタンパクを産生しているかを免疫組織やRT-PCR、免疫ブロット法などで検討した。さらにはドナー骨髄幹細胞由来表皮細胞が欠損するタンパクを産生することが皮膚の症状や生存期間に対して影響を及ぼすか検討した。 その結果、正常マウスから骨髄移植を受けたBP180ノックアウトマウスには正常なBP180タンパクの発現が認められ、皮膚の状態の改善および生存期間の延長も認められた。以上から骨髄移植により正常なマウスの骨髄細胞が表皮内へと移動し正常な機能を持った表皮細胞へと分化し機能的なタンパクを産生し皮疹の改善と生命予後の改善をもたらしたと言える。 このように当初予定した研究計画をほぼ施行でき、かつ結果も得られた。
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Research Products
(3 results)